統合失調症は、全国に80万人程が患っている、100人に1人弱がかかる幻覚、妄想などの症状のある精神疾患です。
今後、入院して医療費が高額になったらどうしよう?
統合失調症で通院していると医療保険に入れないの?
と不安に感じる方も大勢おられます。
結論からお伝えすると、統合失調症を患っている方でも、加入できる可能性のある医療保険はあります。
今回は、統合失調症の方でも入れる可能性のある医療保険やそのポイントについてまとめました。
「持病があっても入りやすい!ムダのない生命保険の選び方」を動画でご用意していますので、こちらも参考にしてください。
保険選びの前にご一読いただき、どんな保険に入れるのか、また入りたいのかの参考にしていただければ幸いです。
精神疾患関連の記事
統合失調症以外の精神疾患についての記事も参考にしてください。
統合失調症の方が入れる保険・一覧
保険種類 | 加入可否 |
---|---|
一般の死亡保険 | × |
一般の医療保険 | × |
引受基準緩和型死亡保険 | ○ 保険会社による |
引受基準緩和型医療保険 | ○ 保険会社による |
がん保険 | ○ |
それぞれの保険の特徴や告知内容を確認していきましょう。
統合失調症でも入れる医療保険について
一般の医療保険
一般の医療保険でも、書面による告知などの審査を通過すれば加入できる可能性はあります。
保険会社や保険の内容にもよりますが、多くの場合で、告知書に下記の記入が必要となります。
一般の生命保険 告知内容の例
- 過去3ヶ月以内の、医師による診察・検査・治療・服薬の有無
- 過去2年以内の、健康診断や人間ドックにおける指摘の有無
- 過去5年以内の、病気やケガでの入院・手術などの有無
つまり、過去5年以内に統合失調症での通院や服薬等の経験がなければ、告知内容に該当しないため、一般の医療保険にも入れる可能性があります。
一方、過去5年以内に統合失調症での通院や服薬等がある場合には、告知審査を通過できず、加入できないという結果が非常に多いのが現状です。
契約時の告知書記入時には、統合失調症を含め、持病のことについては正確に記入しましょう。
引受基準緩和型の医療保険
引受基準緩和型 医療保険のメリット
引受基準緩和型の医療保険は、一般の医療保険よりも告知項目が少なく、統合失調症の方でも比較的加入しやすい保険です。
しかも、保険に加入する前の持病が悪化したり、再発した場合でも保障の対象となるというのが引受基準緩和型医療保険の大きな特徴です。
統合失調症は再発のおそれが高く、入院が長期になることもある病気なので、加入しやすいと助かりますね。
ただし、1年以内に統合失調症による入院がある場合には、加入できないこともあります。
現在の治療状況で加入できるか確認したい方は、こちらからお問い合わせください。
引受基準緩和型 医療保険のデメリット
一方デメリットもあります。
引受基準緩和型 医療保険のデメリット
- 一般の医療保険よりも保険料が高いこと
- 保険会社によっては、一定の期間は給付金が減額される場合があること
- 選べる特約が少ないこと
メリットとデメリットをよく考えて、加入を検討していきましょう。
また今は、健康状態が良くないので、一旦、引受基準緩和型の医療保険に加入しておき、健康状態が改善したら、一般の医療保険に加入し直すということも可能です。
生命保険は一度加入したら、一生涯継続し続けると考える方が多いのですが、保障内容が良く、保険料が安い保険商品があれば、積極的に見直しましょう。
保険を検討する順番をまとめた記事をご用意していますので「持病があっても入れる生命保険 ムダのない保険選びの原則」も参考にしてください。
無選択型の医療保険
健康状態についての告知が不要な保険です。
重度の統合失調症でも保険に加入できるという点では、大きなメリットになります。
ただし引受基準緩和型保険と異なり、持病の再発や悪化は2年間などの一定期間、保障の対象外となることが多いです。
また保険料もかなり割高に設定されています。
無選択型保険は健康状態の告知が必要ないので、健康状態に何らかの不安がある人でも入れます。
つまり保険会社側は給付金や保険金を支払う確率が高くなるので、保険料も非常に高額になるのです。
現状の健康状態では、無選択型の医療保険しか選択できない場合は、一旦は無選択型の医療保険で加入し、その後、引受基準緩和型の医療保険や一般の生命保険に切り替えることも検討していきましょう。
がん保険
統合失調症を患っていても、がん保険に入れる可能性はあります。
がん保険はその性質上、保険加入時の告知内容は、がんに関することを中心とした質問内容になっています。
そのため過去にがんになっていなければ、告知審査を通過できる可能性があるのです。
もちろん告知項目は保険会社によって異なりますので、統合失調症について記載すべき欄があれば正しく記載してください。
就業不能保険
統合失調症を患っている場合、就業不能保険の加入は非常に困難です。
公的保障である傷病手当金や障害年金が利用できないかをチェックして、利用できる公的保険をフル活用していきましょう。
ここまで、各種生命保険についてご案内致しました。
具体的に生命保険について考えてみたいという方は、下記から弊社のオンライン相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。
統合失調症の方が医療保険に入る前に考えたいこと
引受基準緩和型の医療保険や無選択型の医療保険は、一般の医療保険と比べて保険料が高く、生活における負担が重くなります。
医療費を貯蓄でカバーできないかどうかや、利用できる公的制度はないか、必ず確認をしておきましょう。
統合失調症の人が利用できる可能性のある公的制度には「高額療養費制度」「傷病手当金」「障害年金」などがあります。
高額療養費制度
支払った治療費の自己負担が高額になった時、申請すれば払い戻しが受けられる制度です。
高額療養費が利用できるかどうかは、現在の年齢や年収によって異なります。
69才以下で、世帯年収500万円の場合、80,100円超の医療費を支払った場合には、高額療養費制度を利用することができます。
適用区分(69才以下の方) | ひと月の上限額(世帯ごと) | |
---|---|---|
ア | 年収約1,160万円~ | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770万円~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370万円~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
エ | ~約370万円 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
高額療養費制度を利用した場合の自己負担額の上限は
医療費が100万円(3割自己負担前の費用)かかった場合
世帯年収 1,200万円の方・・・252,600円+(1,000,000-842,000)×1%=254,180円
世帯年収 800万円の方 ・・・167,400円+(1,000,000-558,000)×1%=171,820円
世帯年収 500万円の方 ・・・ 80,100円+(1,000,000-267,000)×1%= 87,430円
世帯年収 300万円の方 ・・・ 57,600円
住民税非課税世帯の方 ・・・35,400円
所得の多い方が、自己負担額は高くなります。
(2021年1月現在)
厚生労働省保険局 高額療養費
69才以下でお給料(標準報酬月額)が25万円だった場合、ひと月の自己負担限度額は57,600円になります。
もしこの人がひと月の間に10万円の医療費を支払ったとしたら、42,400円の払い戻しが受けられることになります。
計算式 100,000-57,600=42,400円
払い戻しを受けるには、加入している健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険の場合には市町村役場に申請書を提出する必要があります。
何もしなければ高額療養費制度の払い戻しは受けられませんのでご注意ください。
傷病手当金
統合失調症等で働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日以上あったうえで4日目以降に休んだ日に対して支給されます。
支給期間は最長1年6ヶ月です。
支給される金額は、下記の計算となります。
傷病手当金の計算方法
【支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準月額を平均した額】÷30日×2/3
例)標準月額 30万円の場合
30万円÷30×2/3=20万円
月額20万円を最長1年6ヶ月受け取ることができます。
傷病手当金は有給休暇中は対象外
ただし、傷病手当金を受け取るには、給与が支払われてないことが要件となります。
そのため、病気療養の休職期間を、有給休暇で消化していた場合には、給与が発生するため、傷病手当金は受け取れません。
傷病手当金の申請は毎月でも、1年分まとめてでもOK
傷病手当金を受け取る場合は加入している健康保険組合・協会けんぽ・市町村などの自治体に申請書を提出します。
申請書は会社が準備してくれることもありますが、もし何の連絡もないなら自分で書類を準備しましょう。
事業主の証明は必ず必要となりますので、会社側には事前に伝えておきましょう。
障害年金
病気やケガが原因で障害の状態になったときに障害年金が支給されます。
厚生年金加入者の場合は、障害厚生年金、国民年金加入者は、障害基礎年金を受け取ることができます。
障害年金を受け取るためには、下記の2つの条件を満たしていることが必要です。
障害年金を受け取るための条件
- 初診日が国民年金または厚生年金保険の被保険者期間中であること
- 初診日の前日において、初診日の属する付きの前々月までの被保険者期間についての保険料納付済期間と免除期間を合算した期間が加入期間の2/3以上納められているまたは、初診日の属する付きの前々月までの直近1年間に滞納期間がないこと
障害年金には、1級~3級までがあり、国民年金加入者は1級または2級、厚生年金加入者の場合には、1級~3級のいずれかに該当すれば、障害年金を受け取ることができます。
統合失調症などの精神疾患も、障害年金が認められることがありますので、給付を受けていない方は、申請を検討しましょう。
何級に該当するかは、主治医に診断書を記入してもらい判断されることになります。
一般的な傷病については、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準をもとに障害等級が判断されることになりますが、統合失調症を含めた精神疾患の障害等級の判定には「国民年金・厚生年金 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が目安として利用されています。
医師に診断書を作成してもらい、年金請求書やその他の必要書類を記入して、厚生年金加入者の場合には日本年金機構や年金相談センターの窓口へ、国民年金加入者の場合には各自治体 市町村役場に提出します。
国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン
考慮すべき要素 | 障害の状態 |
---|---|
統合失調症については、療養及び症状の経過(発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況)や予後の見通しを考慮する。 | - |
統合失調症については、妄想・幻覚などの異常体験や、自閉・感情の平板化・意欲の減退などの陰性症状(残遺状態)の有無を考慮する。 | 陰性症状(残遺状態)が長期間持続し、自己管理能力や社会的役割遂行能力に著しい制限が認められれば、1級または2級の可能性を検討する。 |
保険加入時には正確な告知を
保険加入時の告知とは
告知とは、保険に入る前に保険会社に対して健康状態や持病、職業等について伝えることを指します。
告知書という書面に、健康状態の質問項目があるので、正確に回答を記入しましょう。
なぜ告知するの?
保険とは、大勢の人たちが保険料を出し合って相互に保障するしくみだからです。
健康状態が良くない人や危険な仕事に就いている人などは給付金や保険金を受け取る確率が高いので、提出された告知内容を元に審査を行い、健康な人と同じ条件で保険に入ることを制限しているのです。
告知のポイント
告知書を提出してはじめて告知したことになります。口頭で伝えただけでは告知になりませんのでご注意ください。下記に代表的な告知項目を記載します。
一般的な保険
- 勤務先や仕事内容
- 2年以内の健康診断の受診の有無
- 障害の有無・入院や手術の予定
- 3ヶ月以内の受診の有無
- 5年以内の特定の病気の有無
- 5年以内の手術や入院の有無
- 妊娠や出産の有無(女性のみ)等
引受基準緩和型保険
- 3ヶ月以内の入院や検査等の有無
- 2年以内の入院
- 5年以内のがん等の特定疾患における診察や治療等の有無等
無選択型保険
健康状態の告知は不要です。
告知せずに病気を隠して保険に加入したら
故意か過失によらず、告知しなかったり事実と異なる告知を行なった場合、告知義務違反となります。
告知義務違反が発覚すると、保険会社はその保険契約を解除できます。
また保険金についても支払われません。
つまり告知義務違反をして保険に加入した場合、入院等の事態になったとしても給付金は降りず、さらにその保険は解除されてしまい、何もいいことはありません。
契約してから2年以上経過すれば契約解除はされない?
保険契約から2年を超えて継続した場合、保険会社は保険を解除できないとされていますが、告知義務違反の内容が「重大」なら、「詐欺による契約の取り消し」となるケースもあります。
詐欺行為と認定された場合は保険料も戻りません。
絶対に告知義務違反はやめましょう。
告知義務違反が発覚するのはどんなとき?
告知義務違反が判明するのは、主に保険金や給付金を請求したときです。
保険会社が請求内容の調査を行なった際に、告知義務違反が発覚するのです。
告知のよくある質問
統合失調症とは
脳のさまざまな働きをまとめることが難しくなり、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。
精神機能の統合が乱れることから、以前は精神分裂病とも呼ばれていました。
統合失調症の患者数
厚生労働省の患者調査によると、統合失調症患者は日本国内に70万人~80万人おり、思春期から青年期に発症することが多いようです。
男女別で発症率を見ると男:女=1.4:1の割合で、男性に多い病気とされています。
統合失調症の入院日数
統合失調症は、他の病気と比べても平均入院日数が長く、平成29年 厚生労働省 患者調査によると約1年半とされており、「胃がん」と比べ約27倍の期間を病院で過ごすことになります。
特に高齢者の入院日数は非常に長期にわたり、65才以上で平均1,210日、75才以上で平均1,692日とされています。
長期の入院をした場合、大きな出費が発生することも予想されます。
公的保険制度は優先的に使用しながらも、民間の医療保険なども補完して利用できるといいですね。
統合失調症の方が医療保険に入るポイント
支払限度日数は長めにする
医療保険には、支払限度日数という考え方があり、1回の入院について、保障できる期間を定めています。
統合失調症は長期入院が必要になるため、支払限度日数が長い保障の方が安心できると思います。
統合失調症の方でも加入しやすい、引受基準緩和型の医療保険を例にあげると、支払限度日数は60日型や120日型というものが一般的です。
長期入院に備えて、「120日型」を選択することをオススメします
ただし、60日型よりも120型の方が保険料は高くなるので、保障と保険料のバランスを考えて、決定してください。
通院保障も検討する
通院保障特約は、入院前後の通院に対して、保障を受けることができます。
入院給付金日額 10,000円
通院給付金日額 5,000円
のような契約方法を取ることができます。
統合失調症の場合、入院と通院を繰り返すこともあるため、通院保障もあると安心ですよね。
ただし、入院をしていない単なる通院では保障されないので、注意が必要です。
こちらも別途、特約保険料がかかるので、保険料とのバランスで決めていきましょう。
統合失調症でも入れる医療保険 まとめ
いかがでしたでしょうか?
統合失調症でも入れる可能性のある医療保険はあります。
しかし、一般の医療保険には入りにくいのが現状です。
引受基準緩和型の医療保険や無選択型の医療保険に加入し、健康状態の改善を待って、一般の生命保険に加入し直す、ということも検討していきましょう。
またその際は利用できる公的保険制度はフル活用していきましょう。
統合失調症は悪化すると、長期の入院治療等が必要になることもあるので、経済的な備えも考えておきましょう。
統合失調症の方が加入できる医療保険はあまり多くはありませんが、比較しながら検討したい・プロの意見を聞いてみたいなら、ぜひ保険相談ラボの無料相談にご連絡ください。
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