みなし相続財産を活用した、相続税対策のリスクとメリットを解説!

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「そろそろ相続のことが心配になってきた…」そう思い、相続に関して情報を集めていると、わからない言葉に出くわすことはありませんか?

そうなんだよ。難しい言葉が多くて…。よく出てくる「みなし相続財産」ってどういう意味なのかな?

みなし相続財産とは、被相続人が亡くなったことで発生する財産のことです。

相続税対策をする上で、みなし相続財産は重要なポイントです。
知っているのと知らないのでは、相続税に大きな差が生じます。

相続税対策は、早くから行うことでより効果が高くなるものです。
この機会に、相続に対する基本的な知識を把握しましょう。

この記事では、みなし相続財産に含まれるものや、相続税にどう関係するのか、簡単にできる相続税対策などをご紹介しています。

この記事の要点
  1. みなし相続財産とは、被相続人が亡くなったことで発生する財産のこと
  2. みなし相続財産は、民法上では相続財産に含まれないが、相続税法上では相続財産に含まれる
  3. みなし相続財産の代表的なものは「死亡保険金」と「死亡退職金」
  4. 死亡保険金と死亡退職金は「500万円×法定相続人の数」が非課税になる
  5. 相続発生から3年以内に贈与された財産も、みなし相続財産に含まれる
  6. みなし相続財産は受取人固有の財産のため、遺産分割の対象にならない
  7. 生命保険を活用すれば、相続税が軽減できる

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目次

みなし相続財産に含まれるも

みなし相続財産とは、被相続人が亡くなったことで発生する財産のことです。

被相続人とは
財産を所有していた人=亡くなった人のこと

みなし相続財産は、民法上では相続財産に含まれませんが、相続税法上では相続財産に含まれます

難しいな。どういう意味だろう???

みなし相続財産が「誰のものか」という観点では、受取人のものになるため、相続財産に含まれません。ただし、「相続税の対象になるか」という観点では、相続財産に含まれるという意味です。

相続税を計算する上では重要なポイントになるため、しっかり理解していきましょう。

みなし相続財産に含まれる主なもの

  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 弔慰金
  • 被相続人から3年以内に贈与された財産
  • 生命保険契約に関する権利
  • 定期金に関する権利
  • 特別縁故者への相続財産の分与
  • 低額で譲渡された財産の差額
  • 債務免除された金額
  • 信託による利益 など

死亡保険金・死亡退職金・弔慰

みなし相続財産の代表的なものが「死亡保険金」と「死亡退職金」です。

死亡保険金とは:生命保険の被保険者が死亡した場合に保険会社から支払われるお金のこと
死亡退職金とは:退職金制度を設けている企業に勤める人が、在職中に死亡した場合に受け取れる退職金のこと

また、退職金とは別に「弔慰金」という形でお見舞金のようなものを支払う会社もあります。
死亡保険金・死亡退職金・弔慰金はすべて、被相続人の死亡がきっかけで発生するお金のため、みなし相続財産です。

死亡保険金や死亡退職金に関しての把握しておくべきポイントは、次の章で詳しく解説します。

被相続人から3年以内に贈与された財

被相続人から3年以内に贈与された財産は、みなし相続財産として相続税の対象になります。

みなし贈与

相続対策のため生前贈与を行っていた場合、相続発生から3年以内の贈与額は相続財産に差し戻されることを覚えておきましょう。

もし既に支払った贈与税がある場合、贈与税と相続税の両方を支払うことになるの?

いいえ。3年以内に贈与税を納めている場合は、相続税から納税した贈与税が差し引かれます。二重払いにはならないので安心してください。

生命保険契約や定期金に関する権

生命保険契約や定期金に関する権利も、みなし相続財産として相続税の対象です。

定期金とは
個人年金のように、定期的に支給されるお金のこと

生命保険に加入する際には「契約者・被保険者・受取人」を指定します。
一般的には契約者が保険料の支払いをしますが、実際には契約者以外の人が保険料の支払いをしているケースもあるでしょう。

例えば、「専業主婦の妻が、契約者・被保険者・受取人になっている個人年金保険」で、支払いは夫がしているケースなどが該当します。

このような「保険の当事者が保険料を支払っていない保険契約」に関する権利は、みなし相続財産です。
具体的には、以下に該当する金額がみなし相続財産として判断されます。

  • 生命保険契約に関する権利の場合→解約返戻金
  • 定期金に関する権利の場合→未払分の年金など

ただし、掛け捨てと呼ばれるような解約返戻金が発生しない保険契約に関する権利は、みなし相続財産に含まれません。

特別縁故者への相続財産の分与

特別縁故者への相続財産の分与とは、被相続人に法定相続人がいない場合、被相続人と特別な縁故があった人へ財産を分与することです。

特別縁故者への相続財産の分与があった場合は、みなし相続財産と判断され、相続税の対象になります。

低額で譲渡された財産の差額

低額で譲渡された財産の差額は、みなし相続財産として相続税の対象になります。
例えば、評価額5,000万円の土地を2,000万円で譲渡された場合、差額の3,000万円がみなし相続財産に該当します。

財産に対する評価額が著しく低額だった場合の譲渡のみが対象です。

債務免除された金額

債務免除された金額は、みなし相続財産として相続税の対象になります。
具体的には、以下の場合が該当します。

  • 遺言により、相続人が被相続人へしていた借金が免除された
  • 遺言により、相続人が第三者へしていた借金を被相続人が肩代わりした

例えば、相続人が被相続人へ500万円の借金があり、遺言により免除された場合、免除された500万円全額が、みなし相続財産として相続税の対象になります。

信託による利益

信託による利益も、みなし相続財産です。

信託とは
財産を信託銀行などに預けて、運用や管理をしてもらうこと

被相続人が自分の財産を信託し、信託による利益を相続人が受け取った場合はみなし相続財産として、相続税の対象になります。

死亡保険金と死亡退職金のポイン

みなし相続財産の代表的なものは、死亡保険金と死亡退職金です。
相続について考える上で重要なポイントなので、しっかり把握しておきましょう。

「500万円×法定相続人の数」が非課税にな

ポイント1つ目は、「500万円×法定相続人の数」が非課税になることです。
非課税枠は死亡保険金と死亡退職金の両方にあり、併用可能です。

「死亡保険金3000万円・死亡退職金1,500万円・法定相続人3人」の場合の相続税対象額

  • 500万円×3人=1,500万円が非課税
  • 死亡保険金→3,000万円-1,500万円=1,500万円
  • 死亡退職金→1,500万円-1,500万円=0円

死亡保険金1,500万円が相続税の対象になります。

非課税枠があることで、相続税が軽減されることがわかりますね。

小:法定相続人のルール

法定相続人の基本ルールは以下の通りです。

法定相続人
  • 配偶者は必ず法定相続人
  • 第1順位は「子」
  • 第2順位は「親」
  • 第3順位は「兄弟姉妹」

先順位の人が1人でも存在する場合は、後順位の人は該当しません
また、同じ順位の人が複数いる場合は、該当する全員が法定相続人になります。
ただし、上記のイラストでわかる通り、第1順位の「子」がいなくても「孫」がいる場合は、孫が第1順位です。

これを「代襲相続」と言います。

ちなみに、配偶者がいない場合は先順位に該当する者だけが法定相続人です。
反対に、第3順位までに該当する人が一人もいない場合は、配偶者のみが法定相続人となります。

上記の他にも以下のルールがあります。

  • 義理の父母:第2順位の「親」に該当する
  • 養子:第1順位の「子」に該当する
  • 前妻の子:第1順位の「子」に該当する
  • 連れ子:法定相続人に該当しない(養子縁組をすれば該当する)
  • 相続放棄した人:法定相続人に含まれる
  • 相続欠格された人:法定相続人に含まれない(ただし、相続欠陥された人に代襲相続人がいる場合は、代襲相続人のみ法定相続人に含まれる)

相続税対策のため、養子を増やしたりする方がいるのは、非課税枠を増やすためです。

死亡保険金が相続税の対象の場合にのみ適用され

非課税枠が適用されるのは、死亡保険金が相続税の対象になる場合です。

生命保険は契約形態により課税される税金が異なります。

契約形態税金の種類
契約者:夫
被保険者:夫
受取人:妻(子供)
相続税
契約者:夫
被保険者:妻
受取人:夫
所得税(一時所得)
契約者:夫
被保険者:妻
受取人:子供
贈与税

死亡保険金の非課税枠が使えるのは、「契約者=被保険者で、受取人が相続人」の場合です。

相続税の契約形態

弔慰金は相続税の対象外だが非課税枠を超えた分は課税対象にな

ポイント2つ目は、弔慰金は相続税の対象外だが、非課税枠を超えた分は課税対象になることです。
弔慰金は被相続人の家族に支払われるため、基本的には相続財産に含まれず、相続税の対象にもなりません

ただし、弔慰金にも非課税枠があり、非課税枠を超えた金額は相続税の対象になるので、注意が必要です。

また、弔慰金の非課税枠は被相続人の死亡理由が「業務上」か「業務外」かにより異なります

弔慰金の非課税枠と

弔慰金の非課税枠は以下の通りです。

  • 死亡理由が業務上の場合:死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
  • 死亡理由が業務外の場合:死亡当時の普通給与の6ヶ月分に相当する額

この場合の普通給与とは、「給料・・扶養手当・勤務地手当・特殊勤務地手当など」の合計額のことで、賞与は含まれません。
また、死亡退職金の代わりに弔慰金を支給する会社もあれば、死亡退職金と弔慰金の両方を支給する会社もあります。

退職金と弔慰金の両方が支給された場合の課税対象額の計算方法

まずは、退職金と弔慰金の両方が支給された場合の課税対象額の計算方法を確認していきましょう。

  • 死亡退職金:3,000万円
  • 弔慰金:500万円
  • 普通給与:30万円
  • 死亡理由は病気(業務外)
  • 法定相続人4人の場合
STEP
弔慰金から弔慰金の非課税枠を差し引く

被相続人の死亡理由が業務上か業務外かを確認し、弔慰金から非課税枠を差し引く

500万円-180万円(30万円×6ヶ月)=320万円

STEP
非課税枠を超えた分と死亡退職金の金額を合算する

ステップ1の金額と死亡退職金の金額を合算する

320万円+3,000万円=3,320万円

STEP
死亡退職金の非課税枠を差し引く

ステップ2の金額から死亡退職金の非課税枠を差し引く

3,320万円-2,000万円(500万円×4人)=1,320万円

1,320万円が相続税の対象に含まれます。

退職金代わりに弔慰金が支給された場合の課税対象額の計算方法

次に、退職金の代わりに弔慰金が支給された場合の課税対象額の計算方法を確認してみましょう。

  • 弔慰金3,000万円
  • 普通給与:30万円
  • 死亡理由は病気(業務外)
  • 法定相続人4人の場合
STEP
弔慰金の非課税枠を差し引く

弔慰金から弔慰金の非課税枠を差し引きます。

3,000万円-180万円(30万円×6ヶ月)=2,820万円

STEP
死亡退職金の非課税枠を差し引く

死亡退職金の非課税枠を差し引く

2,820万円-2,000万円(500万円×4人)=820万円

820万円が相続税の対象に含まれます。
金額が大きいので、「弔慰金」という名前でも死亡退職金とみなされ、死亡退職金の非課税枠も利用できることがポイントです。

相続放棄した人も受け取れるが非課税枠に注意が必要

ポイント3つ目は、相続放棄した人も受け取れるが、非課税枠に注意が必要なことです。

受取人が指定されている死亡保険金や死亡退職金は、受取人固有の財産です。
そのため、相続放棄した人でも受け取れます

相続放棄しても保険金は受け取れる

ただし、死亡保険金を受け取った場合は、相続放棄していても相続税の対象になります

また、非課税枠の捉え方にも注意が必要です。

生命保険の非課税枠は人数カウントに含まれるが非課税にはならな

生命保険の保険金を相続人が受け取る場合は、「500万円×法定相続人」で計算された金額が非課税になります。

相続放棄した場合でも非課税枠は使えるの?

いいえ。相続放棄した場合は相続人ではなくなるため、非課税枠を使うことはできません。

ただし、法定相続人であることに変わりはないので、「500万円×法定相続人」の人数カウントには含まれます

法定相続人とは:民法で定められた相続人のこと
相続人とは:相続放棄した人や相続権を失った人を除いた相続人のこと

法定相続人は、相続放棄をしても放棄がなかったものとして扱われるルールがあります。
つまり、相続放棄しても非課税枠の人数には含まれるのです。

ここまでを理解した上で、一例を見ていきましょう。

相続放棄した場合の生命保険の非課税枠の例

  • 夫Aさんが亡くなり相続が発生
  • 夫Aさんの法定相続人は、妻Bさんと子Cさんの2人
  • 夫Aさんの保険金は、妻Bさんに1,000万円・子Cさんに500万円
  • 子Cさんは相続を放棄した=相続人は妻Bさん1人
  • 上記の場合、保険金の非課税枠は、相続放棄をした子Cさんを含むので「500万円×2人=1,000万円」
  • 妻Bさんは非課税枠が使えるので、1,000万円までが非課税になる
  • 子Cさんは相続放棄しているため非課税枠は使えない=Cさんが受け取った保険金500万円は相続税の対象になる

相続人の誰かが相続を放棄しても、他の相続人の生命保険の非課税金額が減ることはありません

遺産分割の対象ではな

ポイント4つ目は、遺産分割の対象ではないことです。
遺産分割は、被相続人の財産が対象になります。

民法上では、死亡保険金や死亡退職金は受取人固有の財産です。そのため、遺産分割の対象にはならないのです。

保険金は遺産分割の対象外

また、遺留分の請求もできません。

遺留分とは
兄弟姉妹以外の法定相続人が、最低限相続できる割合のこと
遺言で指定されていない人でも遺留分を請求できる

生命保険を活用すれば相続税を軽減でき

5つ目は、生命保険を活用すれば相続税を軽減できることです。
すぐに行える2つの相続税対策をご紹介します。

非課税枠のフル活

ポイント1つ目でお伝えした通り、生命保険の死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。

つまり、現金(預貯金)で財産を残すより、生命保険の死亡保険金として残した方が相続財産が少なくなるのです。

「被相続人の財産2,000万円・法定相続人4人」の場合で比較してみましょう。

保険金の非課税枠
現金(預貯金)2,000万円
死亡保険金2,000万円
  • 相続税の対象額は2,000万円
  • 相続税の対象額は0円

死亡保険金の場合、2,000万円(500万円×4人)が非課税になるため、相続税の対象になる金額は0円です。
相続財産が少なくなるほど相続税の金額も少なくなるため、生命保険で非課税枠をフル活用することは、最も簡単な相続税対策です。

生命保険は受取人を指定するため、財産を渡したい人に確実に渡せるメリットもあるんですよ。

生命保険を活用した生前贈与

生前贈与とは、財産の受け渡しを生前に行うことです。

生前贈与を行うことで贈与者の財産が少なくなり、亡くなった時の相続税を減らす効果が期待できます。

でも、お金を移動させるだけなら、生命保険を使わなくてもいいんじゃないの?

そう思う方も多いでしょう。
しかし、生命保険を活用することで、ただお金を移動するより有効的な生前贈与を行なえるのです。

今回は、「父親から子供へ、生命保険を活用し暦年贈与をする方法」をご紹介します。

暦年課税とは
受贈者の1年間に贈与された金額が110万円を超えた場合、超えた金額に贈与税がかかる制度のこと
一般的な贈与税は暦年課税が使われる

生命保険を活用した生前贈与の方法は、「父親から子供へ生前贈与を行い、生前贈与されたお金を使って、子供を契約者にした終身保険に加入すること」です。

生命保険を活用した生前贈与の一例
◇保険料相当額を、父親から子供へ毎年贈与する◇
◇子供は、贈与されたお金で下記の契約形態の終身保険に加入する◇
■契約者:子供
■被保険者:父親
■受取人:子供
●保険金:2,000万円
●保険料総額(20年間支払った場合):1,960万円
●年間保険料:98万円

保険を活用した生前贈与の方法

上記のパターンで契約した場合、以下の効果が期待できます。

  • 子供の相続税が軽減できる
  • 子供に贈与税が課税されない
  • 保険金受取時の税金が減らせる
  • 払い込んだ保険料より多くの保険金が受け取れる

よくある質問

死亡保険金の非課税枠を活用するために生命保険に加入する予定です。法定相続人が、妻と子ども2人の場合、「死亡保険金を1500万円・受取人を3人」にして、それぞれに500万円ずつ指定すればよいのでしょうか?

3人に均等に保険金を渡したいのであれば問題ありません。ただ、非課税枠と受取人の人数は関係ないため、受取人が1人でも3人でも同じです。

みなし相続財産は理解できたので、相続税の計算方法が知りたいです。

相続税の計算方法はいくつかのステップが必要です。詳しくは、こちらの記事でご確認ください。

みなし相続財産を活用した、相続税対策のリスクとメリットを解説!まとめ

今回は、みなし相続財産についてお伝えしてきました。
覚えておきたいポイントをおさらいしておきましょう。

この記事のまとめ
  1. みなし相続財産とは、被相続人が亡くなったことで発生する財産のこと
  2. みなし相続財産は、民法上では相続財産に含まれないが、相続税法上では相続財産に含まれる
  3. みなし相続財産の代表的なものは「死亡保険金」と「死亡退職金」
  4. 死亡保険金と死亡退職金は「500万円×法定相続人の数」が非課税になる
  5. 相続発生から3年以内に贈与された財産も、みなし相続財産に含まれる
  6. みなし相続財産は受取人固有の財産のため、遺産分割の対象にならない
  7. 生命保険を活用すれば、相続税が軽減できる

健康なうちに万一のことや、残された家族のことを考えるのはとても重要なことです。
ただし、税金の話は「難しい」と感じる方が多いため、「相続税の対策をしたい」と思っても何も始めていない方も多いのではないでしょうか?

しかし、相続対策を行うのと行わないのでは、相続税に大きな差が生じます。
どこに相談すればいいのか迷っている方は、弊社にご相談ください。
相続に詳しいファイナンシャルプランナーが、最適なプランをご提案いたします。

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