双極性障害とは、躁状態とうつ状態を繰り返す精神障害です。
厚生労働省によると、双極性障害の方は100人に1人の割合でいるとされています。
双極性障害は全世代で発症しますが、20代前後で発症する方も多く、珍しい病気ではありません。
もし、双極性障害になった場合、診断された後でも医療保険に入れるのかな…?
今、双極性障害で通院治療をしているんだけど、入院になったときに備えて医療保険に入りたいと思っているんだ。
双極性障害などの精神疾患は、入院すると長期化する可能性が高いため、医療保険で備えておくことは重要ですよね。
この記事では、双極性障害の方でも加入できる医療保険や、選び方のポイントをご紹介します。
医療保険に加入する際には健康状態の告知が必要なため、「今はまだ…」と思っているうちに、健康状態が悪化すると、希望の保障が準備できないこともあります。
医療保険の検討を始めた方は、この記事を最後まで読んでいただき、加入するべきかどうか判断してみましょう。
- 双極性障害の方も「引受基準緩和型医療保険」「無告知型医療保険」「がん保険」「少額短期保険」に加入できる可能性がある
- 引受基準緩和型医療保険では、双極性障害で入院した場合も保障される
- 双極性障害の治療が終わってから5年経過している場合は、一般の医療保険に加入できる可能性がある
- 双極性障害の方が医療保険に加入するときは「通院保障の有無」「就業不能保障の有無」「保険期間」「保障の削減期間の有無」「告知事項」に注意する必要がある
- 双極性障害の方でも利用できる公的制度には「自律支援医療制度」「傷病手当金」「生活保護制度」「障害年金制度」がある
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双極性障害の方でも入れる生命保険・一覧
まずは、双極性障害の方でも入れる生命保険を確認してみましょう。
保険種類 | 加入可否 |
---|---|
一般の死亡保険 | 〇~× 最後に治療した時期から5年以上経過している場合は加入できる可能性あり |
一般の医療保険 | 〇~× 最後に治療した時期から5年以上経過している場合は加入できる可能性あり |
引受基準緩和型死亡保険 | ○ |
引受基準緩和型医療保険 | ○ |
がん保険 | ○ |
双極性障害の治療中でも入れる生命保険があるのは安心だね。
生命保険には、病気や怪我の治療費をカバーする医療保険や、死亡時に保険金が支払われる死亡保険など複数ありますが、今回は、医療保険を中心に詳細をご紹介していきます。
双極性障害の方にオススメの医療保険
双極性障害の治療中の方にオススメの医療保険は、以下の4つです。
- 引受基準緩和型医療保険
- 無告知型医療保険
- がん保険
- 少額短期保険
それぞれの特徴をご紹介します。
持病があっても加入しやすい引受基準緩和型医療保険
引受基準緩和型医療保険とは、加入時の引受基準を緩和しているため、持病がある方でも入りやすい医療保険です。
また、持病が悪化し、入院した場合も保障の対象になるため、持病がある方に人気があります。
早速、加入する際に重要な告知内容を確認してみましょう。
引受基準緩和型医療保険の告知内容
引受基準緩和型医療保険の告知内容は、一般の医療保険の告知事項よりも少ない3項目程度で、回答は「はい」か「いいえ」の2択です。
保険会社により多少変わりますが、告知内容は主に以下の項目になります。
引き受け基準緩和型保険の主な告知事項 |
---|
最近3カ月以内に、医師から入院や手術をすすめられたことがあるか |
過去2年以内に、入院や手術をしたことがあるか |
過去5年以内に指定の病気(保険会社により異なる)と診断された、もしくは、入院や手術をしたことがあるか |
告知項目が少ないんだね。双極性障害でもこんなに加入しやすい医療保険があるのは知らなかったわ。
医療保険の告知は大変…というイメージがある方も多いですよね。その点、引受基準緩和型医療保険は告知が簡単なため、精神的負担が少なく済むんです。
引受基準緩和型医療保険のメリット・デメリット
引受基準緩和型医療保険は、引受基準が緩く双極性障害の方でも加入しやすいですが、一般の医療保険と比較するとデメリットと感じられる点もあります。
加入する際には、メリットとデメリットの両方を把握したうえで検討することが重要です。
引受基準緩和型医療保険は、双極性障害や持病を持っている方でも加入でき、双極性障害の悪化も保障される大きなメリットがあります。
しかし、保険料が一般の医療保険と比べると保険料が高く、一定期間、給付金や保険金が減額される商品があります。
持病の悪化がいちばん心配だから、持病が保障されるのは嬉しいな。
告知の必要がない無告知型医療保険
無告知型医療保険とは、告知不要の医療保険です。
そのため、引受基準緩和型医療保険に加入できない方でも加入できる可能性が高い医療保険になります。
ただし、告知がないからといって、誰でも加入できる訳ではありません。
「現在入院中の方」や「入院の予定がある方」などは加入できないので、注意しましょう。
無告知型保険のメリット・デメリット
無告知型医療保険のメリットとデメリットは以下の通りです。
無告知で加入できますが、一般の医療保険と比較すると保険料が高く保障が手薄い内容になってしまうので、注意しましょう。
がんを手厚く保障するがん保険
がん保険とは、がんになったときに手厚い保障が受けられる生命保険です。
比較的安い保険料で、以下のような手厚いがんの保障が準備できることで人気です。
名称 | 給付条件 | 給付例 |
---|---|---|
がん診断給付金 | がんと診断されたとき | 一時金100万円 |
がん入院給付金 | がんの治療のため入院したとき | 1万円/日 |
がん手術給付金 | がんの治療のため、所定の手術や放射線治療を受けたとき | 20万円/回 |
がん通院給付金 | がんの治療のため、通院をしたとき | 5,000円/日 |
がん先進医療給付金 | がんの治療のため、先進医療を受けたとき | 先進医療にかかる費用全額 |
がん治療給付金 | 抗がん剤治療や放射線治療を行ったとき (日帰り含む) | 10万円/月 |
保険料払込免除 | がんと診断されたら、以降の保険料の払い込みが免除になる | ー |
ただし、がん以外の病気やケガなどは保障されないことをしっかり把握しておく必要があります。
がん保険の告知内容
保険会社により多少の違いはありますが、がん保険の主な告知事項は以下の通りです。
がんの告知事項 |
---|
今までにがん、もしくは、上皮内がんになったことがあるか |
過去3か月以内に所定の病気(保険会社により異なる)で医師の診察・検査・治療・投薬をうけたことがあるか |
過去2年以内の健康診断で、所定の内容(保険会社により異なる)の再検査等の指摘を受けたことがあるか |
告知項目にある、保険会社の所定の病気に双極性障害が含まれることは少ないので、双極性障害の方でも加入できる可能性は高くなります。
がん保険のメリット・デメリット
でも、がん保険って本当に必要なのかな?どんなメリットがあるの?
がん保険は医療保険と違い、がん以外の病気や怪我は保障されないため、加入するべきか迷う方も多いですよね。
がん保険のメリット・デメリットを確認してみましょう。
がん保険では、がんと診断されるとまとまったお金が受け取れるので、選択肢を狭めることなく治療を受けられます。
また、受け取ったお金の使用用途は決められていないため、治療費以外の生活費などに充てることもできます。
がん保険の入院給付金の支払限度日数も無制限のことが多いため、安心してがんの治療に専念できることがメリットです。
がんは2人に1人がなる病気と言われているので、がん保険で、しっかりと備えましょう。
加入基準が緩い少額短期医療保険
少額短期保険とは、保険金額の上限が少なく保険期間が短い保険のことで、生命保険の場合、保険金額の上限は300万円、保険期間は最大1年間となります。
告知内容は保険会社にもよりますが、引受基準緩和型医療保険よりも比較的緩い基準の商品もあるため、引受基準緩和型医療保険に加入できない方でも加入できる可能性があります。
少額短期保険のメリット・デメリット
少額短期保険のメリット・デメリットは以下の通りです。
少額短期医療保険は、加入時の保険料は安いですが、長期間継続すると、徐々に保険料が上がるため注意が必要です。
足りない保障を短期間保障するのにオススメの医療保険です。
完治してから5年以上経過していれば一般の医療保険がオススメ
一般の医療保険は、加入時に健康状態の詳細な告知が必要ですが、問われるのは5年以内の既往歴です。
この記事内で言う「一般の医療保険」とは、健康な方と同条件で加入できる医療保険を意味しています。
そのため、双極性障害の最後の治療から5年以上経過していれば、加入できる可能性があります。
ただし、保険会社によっては、特別条件が付加される可能性もあります。
加入の可否は、保険会社によって判断が異なります 。
「A社では加入できなかったけれどB社では加入できた」ということは多々あるので、詳しくは私たちにお問合せください。
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一般の医療保険のメリット・デメリット
一般の医療保険のメリットとデメリットも確認しておきましょう。
一般の医療保険は、引受基準緩和型医療保険や無告知型医療保険と比べると保険料が安く、付加できる特約も豊富なことがメリットです。
ただし、加入時に必要な告知は、詳細な内容が求められます。
特に持病がある方は、治療開始した時期や飲んでいる薬の名前、直近の健康診断の内容などをしっかり準備しておくことが重要です。
双極性障害の方が医療保険を選ぶ際のポイントと注意点
入れそうな医療保険はわかったけれど、商品がたくさんあって何を基準に選んだらいいのかわからないな。
この章では、双極性障害の方が医療保険を選ぶ際のポイントと注意点をご紹介します。
通院保障を準備する
1つ目は、通院保障を準備することです。
医療保険では基本的に、入院や手術をした際に給付金が支払われますが、最近では「退院後の通院」を保障してくれる医療保険が増えています。
厚生労働省の平成8年から平成29年までのデータによると、退院後に通院している患者が増加していることがわかります。
とくに、双極性障害で入院治療を行った場合は退院後も通院する可能性は十分にあるため、通院リスクをカバーした保障が必要です。
医療保険の主契約には通院の保障は含まれていないので、特約で付加することをオススメします。
就業不能保障が必要か検討する
2つ目は、就業不能保障が必要か確認することです。
就業不能保障とは、病気や怪我で働けなくなった場合など、保険会社の定める就業不能状態になったときに、毎月一定の給付金が受け取れる保障です。
双極性障害は、程度により長期間働けなくなってしまう可能性があります。
そのため、世帯主の方や独身の方は、就業不能保障を検討してみることもオススメです。
就業不能状態は保険会社によって異なるので注意
一般的には以下の状態に該当する場合に、就業不能状態と判断されるケースが多いです。
就業不能状態と判断されるケース
- 入院している
- 在宅療養している
- 障害等級1級・2級と判断された状態
- 特定障害状態
ただし、就業不能状態は保険会社によって異なるので、注意しましょう。
就業不能保険なら、病気や怪我で勤務していた職場に戻れなかった場合も保障されるの?
残念ながら、その場合に給付金は支払われません。就業不能保険は仕事ができない期間を保障する保険であることを覚えておきましょう。
就業不能保障には支払い対象外の期間があるので注意
就業不能保障には、一定の給付金の支払い対象期間があります。
期間は商品によって異なりますが、主に60日~180日に設定されていることが多いです。
つまり、支払い対象外保険期間が60日の場合、就業不能状態による給付は61日から対象になります。
保険期間を検討する
3つ目は、保険期間を検討することです。
生命保険の保険期間は、主に2種類あります。
一定期間保障する「定期タイプ」と、一生涯保障をする「終身タイプ」です。
双極性障害の方には、終身タイプをオススメします。
あれ?でも、定期保険のほうが安いって聞いたことがあるけれど・・・
定期タイプは、加入時は終身タイプよりも安いですが、更新するたびに保険料が高くなります。
「一定期間保障を上乗せしたい」、「さらによい条件の保険に加入するまで保障したい」といった方には定期保険を検討することをオススメします。
一方、終身タイプは加入時から保険料が一定で安定しています。
また、定期タイプでは満期があるのに対して、終身タイプでは解約しないかぎり一生涯保障されます。
双極性障害の方は、一旦保険が満了してしまうと、症状によって再加入が難しい場合もでてくるかもしれません。
保険料が加入時から変わらないこと、一生涯の保障があることを考慮すると、双極性障害の方には終身タイプがオススメです。
保障の削減期間の有無を確認する
4つ目は、保障の削減期間の有無を確認することです。
引受基準緩和型医療保険と無告知型医療保険には、保障の削減期間が設定されている商品があります。
引受基準緩和型医療保険では、契約して1年間は給付金が50%に削減される商品が多いです。
たとえば、一日あたり5,000円の給付金が支払われる場合、契約から1年間は一日あたり2,500円に削減されます。
また、無告知型医療保険では、入院や手術をしたときに受け取れる給付金に90日間の免責期間を設けられていることが多いため、一定期間保障が無いことに留意しなければなりません。
さらに、加入して2年間以内に亡くなった場合は、設定した保険金額ではなく、それまでに振り込んだ保険料総額が保険金の代わりになります。
保険会社によって保障の削減期間の有無が異なるので、加入するときは詳細を確認することが重要です。詳しくは私たちにお問合せくださいね。
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告知義務違反に注意する
5つ目は、告知義務違反に注意することです。
医療保険に加入する際には健康状態の告知が必要ですが、告知をする際は、ありのままを正しく告知をしなければなりません。
「告知したら加入できないのでは…」と考える気持ちはわかりますが、双極性障害を隠して加入をすると告知義務違反に当たります。
告知義務違反に該当すると、給付金が受け取れなかったり、契約が解除されたりする恐れがあるため、事実をありのまま正しくもれなく告知するように注意しましょう。
双極性障害の方が利用できる公的制度
双極性障害の方は、条件に該当すれば、いくつかの公的制度が利用できます。
生活を支えるための制度なので、積極的に利用しましょう。
医療保険と合わせて利用すると、ご家族の方も安心できますよ。
自立支援医療制度
自律支援医療制度とは、年齢に関係なく双極性障害と診断された方が対象の制度です。
外来の医療費や薬代の自己負担額が原則一割に抑えられます。
詳細は「厚生労働省・自律支援医療制度」でご確認ください。
傷病手当金
傷病手当金制度とは、怪我や病気で働けない間の収入が一定期間保障される制度です。
連続して3日以上休んだあと、4日目以降の休んだ日に対して支給され、職場復帰するまで最長1年6ヶ月まで支給されます。
- 有給休暇等で給与が支払われる日は対象外
- 雇用保険に加入している人が対象なので、個人事業主や自営業を営んでいる方は対象外
- 支給開始から1年ヶ月6の期間を超えた場合、職場に復帰できんなくても傷病手当金はそれ以降の支給はない
詳細は「傷病手当金」でご確認ください。
生活保護制度
生活保護制度とは、働けない方や極端に収入が少ない方のために、生活に困窮しない程度の保障を受けられる制度です。
困窮の程度により生活費を受け取れます。
双極性障害が原因で仕事ができなくなった方も対象です。
双極性障害が原因で生活保護制度を利用する場合、障害年金も受け取れます。
詳細は「厚生労働省・生活保護制度」でご確認ください。
障害年金制度
障害年金制度とは、怪我や病気により日常生活が制限されるようになった場合に年金が受け取れる制度です。
障害が発生するまでの間に国民年金に加入していた方は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた方は「障害厚生年金」が受け取れます。
通常の年金と違い、障害年金の受け取りは20歳以降で条件に該当する方であれば対象です。
受け取れる年金額は障害の程度により1~3級で認定し決定されます。
詳細は「日本年金機構」でご確認ください。
双極性障害とは
最後にあらためて、双極性障害について確認しましょう。
双極性障害とは、うつ状態と躁(そう)状態の両方の症状があらわれる病気です。
双極性障害には「双極性障害Ⅰ型」「双極性障害Ⅱ型」「気分循環性障害/気分循環症」の3種類のタイプがあります。
「双極性障害Ⅰ型」と「双極性障害Ⅱ型」では、うつ状態の症状は同じですが、躁状態ではⅠ型の方が深刻で、Ⅱ型は軽度の症状です。
「気分循環性障害/気分循環症」は、「双極性障害Ⅰ型・Ⅱ型」よりは重度ではなく、うつ状態と躁状態が不規則に短期間で現れる特徴があります。
双極性障害は、うつ状態と躁状態の両方の症状があるため、うつ状態のときに医療機関を受診すると、「うつ病」と診断される場合も少なくありません。
しかし、うつ病と双極性障害は別の病気であるため、治療方法も異なります。
うつ病と判断され治療をしても症状が良くならない場合は、双極性障害である可能性も高いため、再度診察をしてもらうことが必要です。
うつ病のご家族や友人がいる方は注意して見守ってあげるといいかもしれませんね。
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双極性障害でも加入できる医療保険はある!保障選びの5つポイント まとめ
この記事では、双極性障害の方でも入れる保険や利用できる制度についてご紹介してきました。
最後に大事なポイントをおさらいしておきましょう。
- 双極性障害の方も「引受基準緩和型医療保険」「無告知型医療保険」「がん保険」「少額短期保険」に加入できる可能性がある
- 引受基準緩和型医療保険では、双極性障害で入院した場合も保障される
- 双極性障害の治療が終わってから5年経過している場合は、一般の医療保険に加入できる可能性がある
- 双極性障害の方が医療保険に加入するときは「通院保障の有無」「就業不能保障の有無」「保険期間」「保障の削減期間の有無」「告知事項」に注意する必要がある
- 双極性障害の方でも利用できる公的制度には「自律支援医療制度」「傷病手当金」「生活保護制度」「障害年金制度」がある
双極性障害の方でも、人によって加入できる医療保険は違います。
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