こんにちは。保険相談ラボ編集部です。
「相続対策には一時払い終身保険がおすすめ」相続対策を検討している方は、この言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
一時払い終身保険に加入することでなぜ相続対策に効果があるのか、なぜ、月払いや年払いではなく、一時払い契約が良いのか。こんな疑問を持つ方は多いでしょう。
この記事では、一時払い終身保険が相続対策に向いている理由から、加入時の注意点まで、わかりやすくご紹介しています。
この記事を読むことで、今、相続対策に何を行うべきかが見えてくるはずです。
一時払い終身保険だけでなく、生命保険をフル活用した相続対策を別の記事でご案内していますので、参考にしてください。
- 一時払い終身保険とは、保険料を一括で支払う終身保険のこと
- 一時払い終身保険を相続対策に使うメリットは「相続税が軽減できる」「納税資金や生活資金の確保ができる」「渡したい人へ確実にお金を渡せる」「支払った保険料より多い金額を受け取れることが多い」「高齢者も加入しやすい」こと
- 注意点は「契約形態により税金の種類が変わる」「生命保険料控除は保険料を支払った年のみ使える」「まとまった資金が必要」なこと
- 一時払い終身保険は二次相続対策にもオススメ
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一時払い終身保険は保険料を一括で支払う生命保険
一時払い終身保険とは、保険料を一括で支払う終身保険のことです。
終身保険の特徴は保険期間が終身ということ、つまり被保険者が死亡した場合は必ず保険金が受け取れることです。
また、保険料を一括で支払うことにより、同じ保障でも月払いや年払いの場合より総保険料が安くなるのも特徴です。
1990年代のバブル期は利率の高い終身保険でしたが、2016年にマイナス金利が導入されてからは大幅に利率が下がりました。
その結果、近年はより利率の高い、外貨建ての一時払い終身保険も注目を集めています。
外貨建て一時払い終身保険と円建て一時払い終身保険の大きな違いは、為替の影響の有無です。
保険料を払い込むときや、保険金や解約返戻金を受け取るときの為替レートにより、損得が生じるのです。
この他にも、円建てには必要ない諸費用がかかることも多いため、外貨建ての一時払い終身保険に加入する際は、メリットだけでなくリスクもしっかり理解することが重要になります。
相続対策に一時払い終身保険を活用する6大メリット
「相続対策に一時払い終身保険がおすすめらしい」この記事を読んでいただいている方は、この言葉を聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?
その通り!相続対策に一時払い終身保険を活用することで、たくさんのメリットが得られるんですよ。
相続税の節税対策になる
一時払い終身保険を活用するいちばんのメリットは、相続税の節税ができることです。
なぜ相続税の節税ができるかというと、被保険者が亡くなったときに受け取れる保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があるためです。
法定相続人とは
民法で定めされた相続人のこと
- 大前提として、配偶者は常に法定相続人
- 第1順位:亡くなった方に子供がいる場合→配偶者と子供
(子供が亡くなり孫がいる場合は孫が該当)
- 第2順位:亡くなった方に親や祖父母がいる場合→配偶者と親や祖父母
- 第3順位:亡くなった方に兄弟姉妹がいる場合→配偶者と兄弟姉妹
(兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥や姪が該当)
※第1順位がいる場合は第2順位以降に権利はない
※配偶者がいない場合は配偶者以外の該当者のみ
相続税とは、財産を持っている人が亡くなった場合に相続財産に対して課税される税金です。
相続税は財産を持っていた人ではなく、財産を相続する人に課税義務が発生します。
相続財産は預貯金の他に株や不動産なども含まれますが、財産を現金や預貯金で持っていた場合、金額そのままが相続財産として計算されます。
つまり、2,000万円の預貯金があった場合は2,000万円全額が相続財産に含まれてしまうのです。
現金や預貯金が多いと相続税も多くなってしまうのね
残念ながら、そうなんです。でも簡単に相続税を少なくする方法があるんですよ
しかし、相続する人が生きているうちに一時払い終身保険に加入すると状況は変わってきます。
例えば、夫が2,000万円の預貯金のうち約2,000万円全額を使い一時払い終身保険に加入し、その後亡くなった場合をシミュレーションしてみましょう。
- 夫の法定相続人は妻と子供2人の3人
- 一時払保険料 2,000万円
- 生命保険金 2,050万円
- 500万円×3=1,500万円
- 非課税額 1,500万円
- 2,050万円-1,500万円=550万円
- 550万円が相続財産に含まれます。
同じ2,000万円の財産でも相続税課税額は2,000万円と550万円、これだけの大きな差が生じるのです。
これが、「一時払い終身保険が相続税の節税になる」と言われる理由です。
納税資金や生活資金の確保ができる
相続税は、相続が発生した日から10カ月以内に現金で支払わなければなりません。
しかし、相続人が複数いる場合の相続財産は共有財産になるため、遺産分割協議が終わるまで預貯金口座から現金を自由に引き出すことは、原則できません。
また、相続財産に不動産が多い場合は、不動産を現金化するのにある程度の時間が必要になってきます。
不動産の売却がうまく進まない場合、相続税の支払い期限である10ヶ月以内に現金が用意できない可能性もでてきてしまうのです。
うちの親は私たち兄弟に土地や建物を相続させるって言ってるけど大丈夫かな…?
すぐに現金を準備できれば問題ありませんが、そうじゃない場合は簡単に現金化できる準備をしておいた方がいいかもしれませんね
生命保険の保険金は現金で受け取れるため、相続税の資金に充てることが可能です。
相続する人が亡くなったときは、納税資金の他にもなにかとお金がかかることは多いので、受取人に指定した人が確実に現金で受け取れることは大きなメリットと言えるでしょう。
預貯金仮払い制度とは
夫が死亡した場合、「夫の預貯金口座は凍結され、遺産分割が終わるまでお金をひきだすことができない」という内容を聞いたことはありませんか?
これは不正防止を防ぐために定められた制度でしたが、この制度があるため、残された家族がすぐに必要となる葬儀費用や当面の生活費などの現金を引き出せなくて、困るケースが頻繁に発生していました。
特に、大黒柱である父親が亡くなった場合は困る方が多いでしょう。
このトラブルを解消するために2019年7月から始まったのが「預貯金仮払い制度」です。
預貯金仮払い制度とは、「死亡時の預貯金残高×法定相続分×3分の1」と「150万円」のどちらか低い金額を限度に、お金の引き出しができる制度のことです。
法定相続人は以下の割合で財産を分配することになります。
法定相続人 | 受取割合 |
---|---|
配偶者と子供 | 配偶者:2分の1 子供:2分の1 |
配偶者と父母 | 配偶者:3分の2 父母:3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者:4分の3 兄弟姉妹:4分の1 |
尚、預貯金仮払い制度は、金融機関ごとに利用が可能です。
例えば、亡くなった夫の法定相続人は妻と子供2人・預貯金が1,000万円あった場合に、妻が預貯金仮払い制度を利用するとします。
- 1,000万円×2分の1×3分の1=166.6万円
- 150万円<166.6万円
この場合、150万円が引き出し限度額になります。
150万円という金額は、人が亡くなった後に起こる出来事を考えると、決して大きい金額ではありません。
なぜなら、葬儀やお墓の費用、当面の生活資金などはすぐに必要になるお金だからです。
預貯金仮払い制度はありがたい制度ではありますが、やはり生命保険のようにすぐにまとまった現金を受け取れる方が、残された家族にとって安心感が強いでしょう。
渡したい人へ確実にお金を渡せる
生命保険は加入時に「契約者」「被保険者」「受取人」を必ず決める必要があります。
そのため、被保険者が亡くなった場合の保険金は受取人の固有の財産になり、必ず受取人に渡ることになるのです。
死亡保険金は亡くなった方からのメッセージ、つまり、生命保険を活用することで、保険金を渡したい方へ確実にお金を届けることができます。
支払った保険料より多い金額を受け取れることが多い
一般的な一時払い終身保険は、払込保険料と同額もしくは払込保険料よりも大きな死亡保障を準備できます。
また、一定期間経過後に解約した場合は、支払った保険料より多い解約返戻金を受け取れる可能性が高いのです。
これは一時払い終身保険の特徴で、保険の仕組みに関係しています。保険会社は契約者から預かった保険料を運用することで、利益をあげています。
そのため、短期間に多くの保険料を預かることのできる一時払い終身保険は、他の商品より利率が高い傾向があるのです。
解約返戻金が支払った保険料を上回る時期は、契約者の年齢や性別、保険会社によって違いがあるので、加入前にしっかり確認することをおすすめします。
高齢者も加入しやすい
一時払い終身保険は、告知が簡単なことも特徴です。保険会社によっては、職業告知のみで加入できる商品もあるため、持病をお持ちの方でも加入できます。
また、加入可能年齢も80~90歳までという商品が多く、持病をお持ちの高齢者でも加入しやすいというメリットがあるため、相続対策に人気があります。
うちの父親は持病があるから生命保険には入れないんじゃないの?
いえいえ、一定の項目に該当しなければ加入できる商品もあるんです
生前贈与も併用することでさらなる効果も
一時払い終身保険を活用することで、相続税を減らす効果があることをご理解いただけたでしょうか?
相続税を減らすためには相続財産を減らすことが基本ですが、配偶者だけでなく、お子様やお孫さんに現預金を贈与するという方法もオススメです。
一時払い終身保険の加入と併用することで、さらなる相続対策につなげることができます。
生前贈与について、こちらの記事で詳しくまとめていますので参考にしてください。
相続対策に一時払い終身保険を活用する際の注意点
生命保険は税金と関係があるため、加入前に知っておいた方がいい内容がいくつかあります。
加入後に後悔しないよう、一時払い終身保険に加入する際に注意すべき内容を把握しておきましょう。
契約形態により税金の種類が変わる
一時払い終身保険は、契約形態によって受取人に課税される税金の種類が変わります。
下記の表をご覧ください。
契約形態 | 税金の種類 |
---|---|
契約者:夫 被保険者:夫 受取人:妻(子供) | 相続税 |
契約者:夫 被保険者:妻 受取人:夫 | 所得税(一時所得) |
契約者:夫 被保険者:妻 受取人:子供 | 贈与税 |
例えば、以下の条件だった場合、それぞれの契約形態でどのような違いがあるか見ていきましょう。
- 保険金:2,000万円
- 保険料:1,920万円
- 法定相続人:妻と子供2人
保険金受取時に相続税の対象になるケース
「契約者=夫・被保険者=夫・受取人=妻もしくは子供」の契約形態で一時払い終身保険に加入し、夫が亡くなり、妻もしくは子供が保険金を受け取った場合は、相続税の対象になります。
非課税枠は「500万円×3=1,500万円」1,500万円、保険金2,000万円のうち1,500万円が非課税となるため、残りの500万円が相続税の課税対象額です。
保険金受取時に所得税の対象になるケース
「契約者=夫・被保険者=妻・受取人=夫」の契約形態で一時払い終身保険に加入し、妻が亡くなり、夫が保険金を受け取った場合、所得税の対象になります。
この場合の所得は一時所得となるため、「(保険金-払込保険料-50万円)×2分の1」で所得税の課税対象額を算出します。このケースに当てはめると、「2,000万円-1,920万円-50万円×2分の1=15万円」15万円が所得税の課税対象額です。
保険金受取時に贈与税の対象になるケース
「契約者=夫・被保険者=妻・受取人=子供」の契約形態で一時払い終身保険に加入し、妻が亡くなり、子供が保険金を受け取った場合、贈与税の対象になります。
贈与税には、年間110万円の基礎控除があるため、年間で贈与された金額から110万円を差し引いた金額が贈与税の課税対象額になり、このケースの場合「2,000万円-110万円=1,890万円」1,890万円が贈与税の課税対象額です。
このように同じ生命保険金でも契約形態により課税対象額に大きな変化が生じます。意外に多きな差だと思いませんか?
一般的には所得税がいちばん税金が少なくなることが多いですが、ケースによって税額は変化します。
そのため、事前にシミュレーションをし、できるだけ節税効果の高い方法で加入できるよう、専門家のアドバイスなども参考にしてみましょう。
生命保険料控除は保険料を支払った年のみ使える
生命保険に加入するメリットの1つに「生命保険料控除」が利用できることがあります。毎年、年末調整や確定申告で利用している方も多いでしょう。
生命保険料控除は、年間で支払った保険料に対して利用できます。
そのため、保険料の払い込み方法を月払いや年払いにしている場合は、毎年生命保険料控除を利用できますが、一時払い終身保険は、保険料の支払いをした初年度しか利用することはできません。
まとまった資金が必要
一時払い終身保険は、一括で保険料を支払わなければなりません。そのため、まとまった資金を準備する必要があります。加入後、短期間で解約すると元本割れしてしまうため、支払いは余裕資金で行いましょう。
加入時にはまとまった資金は必要ですが、同じ保障内容だった場合の総保険料額は、月払いや年払いより安くなるメリットもあります。
一時払い終身保険は二次相続対策にも効果的
「二次相続」という言葉を聞いたことはありますか?
例えば、父親が亡くなり妻と子供が相続した場合が一次相続、その後妻が亡くなり子供が相続した場合が「二次相続」になります。
相続税には基礎控除がるため、相続財産のうち「3,000万円+600万円×相続人の数」までが控除され、残りの金額が実際の相続税の課税対象額になります。
また、配偶者は基礎控除の他に「配偶者の税制軽減」を利用することも可能です。
配偶者の税制軽減とは
配偶者が相続人になった場合に利用できる非課税制度のこと
以下のどちらか多い金額が非課税になる
- 配偶者の法定相続分相当額
- 1億6,000万円
一次相続の場合、相続財産の大部分を配偶者が相続することが多く、基礎控除と配偶者の税制軽減制度を利用すると、相続税は課税されない方が多いです。
しかし、その配偶者が亡くなった場合の二次相続は子供が相続するケースが多く、配偶者の税制軽減ほど大きな非課税制度はありません。
また、相続人の数が1人減ることで基礎控除の額も減ってしまいます。
その結果、一次相続では相続税がかからなかった場合でも、二次相続では子供は多額の相続税を支払う可能性が高くなってしまうのです。
この二次相続対策としても一時払い終身保険は有効的です。
妻を被保険者とした一時払い終身保険に加入することで、子供への相続財産が減らせるからです。
二次相続対策は一次相続対策と同時に進めることで効果がでるため、早い段階で準備をすることが重要です。
でもそんな先のことまで考えるのは難しそう…
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一時払い終身保険に関するQ&A
ここでは、一時払い終身保険に関して今まで質問があった内容と答えをご紹介していきます。
ぜひ、今後の参考にしてください。
受取人が死亡していた場合
「被保険者が亡くなり保険証券を確認してみたら、すでに受取人は死亡していた」終身保険の受取人は配偶者がなることも多いため、このような状況も起こり得るでしょう。
例えば、夫の終身保険の受取人である妻がすでに亡くなっていた場合などが該当します。
両親が亡くなって、初めて親が生命保険に加入していたことを知る家庭は少なくありません。
この場合は、妻の法定相続人が受取人になるため、子供がいる場合は子供が保険金を受け取ることになります。
これは受取人が亡くなっていることに気が付かなかったケースですが、もし受取人が亡くなった段階で気が付いた場合は、保険会社に連絡し受取人変更の手続きをしましょう。
受取人が「法定相続人」になっている場合
「父親が亡くなり、子供が保険証券を確認したら受取人が「法定相続人」となっていた」このような場合はどうしたらよいのでしょう?
最近はこのようなことは少ないですが、一昔前にの生命保険には、受取人が法定相続人となっているケースもあるでしょう。
受取人が法定相続人となっている場合は、民法上の法定相続人全員が定められた割合に応じて保険金を受け取ります。もちろん「500万円×法定相続人の数」である保険金の非課税枠も利用できます。
メリットを知ればわかる!一時払終身保険が相続対策に向いている理由・まとめ
今回は相続対策になぜ一時払い終身保険がおすすめなのかをお伝えしてきました。覚えておきたいポイントをおさらいしておきましょう。
- 一時払い終身保険とは、保険料を一括で支払う終身保険のこと
- 一時払い終身保険を相続対策に使うメリットは「相続税が軽減できる」「納税資金や生活資金の確保ができる」「渡したい人へ確実にお金を渡せる」「支払った保険料より多い金額を受け取れることが多い」「高齢者も加入しやすい」こと
- 注意点は「契約形態により税金の種類が変わる」「生命保険料控除は保険料を支払った年のみ使える」「まとまった資金が必要」なこと
- 一時払い終身保険は二次相続対策にもオススメ
一時払い終身保険は大きな金額を一度に支払うため、慎重になる方が多いでしょう。
相続対策のために加入したくても、税金に苦手意識があり、加入を引き延ばしにしている方もいるのではないでしょうか?
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