事業保険の代表格!長期平準定期保険とは?

事業保険の代表格!長期平準定期保険とは?
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2019年7月に法人向け生命保険の保険料に関する税制改正が行われました。
2019年7月8日以降の契約は新しいルールが適用されます。
詳細は国税庁HP/法人税基本通達9-3-5/保険料等をご参考ください。

目次

【長期平準保険の基礎知識。その商品性を確認。】

長期平準保険は、企業の財務戦略上非常に有効な商品です。様々なニーズに対応出来る万能型の商品で、経営者の勇退に伴う退職金準備や、事業承継の準備。さらには、突発的な赤字リスクにも対応出来るなど、各企業の財務保守に非常に有効な商品と言えます。

また、その支払い保険料の半額を損金に算入でき、長期に渡って税負担を軽減出来ることが特徴です。つまり、入口段階での節税にも役立てることが出来るのです。具体的な商品性の特徴としては、その保障が90歳から100歳程度まで続くこと。その間の死亡保険金額も変わりません。保険期間が「長期」にわたり、死亡保険金が「平準」であることが「長期平準保険」の名の由来です。

あらかじめ、解約返戻金を受け取ることを想定して加入する保険で、その返戻金と資金使途を損益通算することで、課税対象額を減額します。解約返戻金を単純受け取りしてしまった際には、その受取額の大部分が益金に算入されます。実際には、解約返戻金受取額と資産計上されていた部分の差額に税金が掛かってきます。保険料支払い時にはその支払い保険料の半額が損金計上され、もう半分は資産計上されます。

その資産計上分から、解約返戻金を差し引いた部分が課税対象になるのです。よって、しかるべき方法で、解約返戻金の“損出し”をしなければ、事業保険への加入が単なる課税の繰り延べになってしまいます。

これでは、保険加入の効果は非常に薄くなってしまいます。支払い保険料の半額を継続的に損金算入しながら、解約返戻金をしかるべき方法で受け取る。この点が、長期平準保険契約におけるメリットのひとつです。また、解約返戻金のピークが加入後20年から30年程度先に控えることと、その返戻金のピークが比較的長く続くことも長期平準定期保険における大きな特徴と言えるでしょう。

よって、加入年齢は40歳程度がベストと言えるでしょう。基本的には60歳から70歳程度で勇退される経営者が多いからです。事業承継や経営者の勇退時期を比較的柔軟に決められる点、使い勝手が非常に良い事業保険と言えるでしょう。

【長期平準定期保険の活用法。想定されうる活用例を確認。】

では、ここからは長期平準定期保険の具体的な活用方法について確認して行きましょう。上述した通り、長期平準定期保険には様々な活用方法があり、事業保険の中でもユーティリティープレイヤー的な存在です。

まずは、経営者の勇退に際しての退職金準備について確認していきましょう。結論から言うと、比較的遠い将来に経営者が勇退を考えている場合には長期平準定期保険へ加入がおすすめです。長期平準定期保険の解約返戻金の返戻率がピークを迎えるタイミングは、保険契約から約20年後から30年後。

また、解約返戻金返戻率のピーク時期が非常に長く続くことも特徴です。よって、経営者の勇退時期が多少ずれたところで、課税対象増加に伴う経済的負担は強いられません。もちろん、最終的には解約返戻金受け取りのタイミングと退職金支払いのタイミングを合わせなければなりません。

なぜなら、解約返戻金の益金と退職金支払いの損金を通算することで、課税対象額を減額するからです。経営者の勇退時期や退職金準備について、余裕を持ったスケジューリングで行える点は大きなメリットと言えるでしょう。ピンポイントで事業承継時期を合わせなければならない逓増定期保険とは柔軟なスケジューリングが行える点で、使い勝手が異なります。

この点は、長期平準定期保険の加入における最大のメリットと言えるでしょう。次に、事業承継時のメリットについて考えていきましょう。事業承継における一番の問題は後継者の税額負担が非常に大きいこと。この税額負担をいかに軽減するかが事業保険加入においてのポイントになります。

事業承継時の税額負担を軽減するには、自社株の評価額を下げる方法が有効です。基本的に、中小企業の株価算定には「類似業種比準方式」を利用します。類似業種の上場企業の株価を参考にして株価を算出します。株価算定時のポイントは主に、「利益」、「配当」、「純資産」の三点。

このいずれかの評価額を引き下げれば、自社株の価値も引き下げることが可能です。長期平準定期保険の加入においては、支払い保険料が高額な分、利益の圧縮に効果的にアプローチ出来ます。業績好調な企業の株価が高くなることは当たり前。逆に、業績が芳しくない企業の株価は下落します。わざと利益部分を圧縮することで、課税対象額を減額するのです。

そうすることにより、後継者の税額負担を軽減します。また、経営者の死亡により、後継者が自社株を買い取らなければならないケースも想定されます。この際も、事業承継になりますが、上述した事業承継の仕組みとは若干異なります。株価評価を引き下げる方法は、経営者が生前時に行う生前贈与の際に使われるパターンです。

一方で、経営者が万が一の事態に陥った際には、後継者に株式の相続が発生します。よって、自社株の評価が高額だと、後継者の方は納税資金が足りなくなる恐れがあります。会社法には「自己株式の買い取り制度」があります。法人が後継者から自社株を買い取る制度です。

しかし、この制度を利用するには、その法人が、後継者から自社株式を購入するための資金を準備している必要があります。このようなケースでも長期平準保険に加入していたら、法人が死亡保険金を受け取ることが出来ます。

よって、法人が後継者からの自社株の買い取り資金に充当することが出来ます。長期平準定期保険に加入しておけば、生前贈与における節税対策、経営者死亡時の自社株買い取り対策の双方に有効と言えるのです。

最後に、もう一点確認しておきましょう。いざという時の赤字補填にも効果を発揮する場合があります。長期平準型定期保険においては、一部解約が可能。解約返戻金のピーク期間が非常に長いため、その間、突発的な赤字リスクが発生した際には、いざという時の業績悪化リスクも回避出来ます。

中小企業にとっては損益計算書や貸借対照表の見栄えは非常に重要。一度赤字を計上してしまうと、資金繰りの悪化リスクにつながります。即ち、銀行融資を受けられにくくなる可能性があるわけです。よって、長期平準保険を活用し、このようなリスクに備えることは非常に有効と言えるのです。

【長期平準定期保険加入の際の注意点。】

長期平準保険には一定の貯蓄性があると言うメリットがある一方、その支払い保険料が高額であるというデメリットもあります。適切な保険料設定を行わなければ、企業のキャッシュフローを悪化させてしますことになります。長期平準定期保険の加入おいては、保険料の支払い期間があらかじめ長くなることが想定されます。この期間は少なくとも、継続して利益を出し続けなければなりません。

また、半損という節税効果が大きい入口のメリットがある一方、出口の税負担がリスクになるケースもあります。解約返戻金返戻率のピーク期間が長いため、解約返戻金受け取り時のリスクは逓増定期保険等に比べれば少ないと言えるでしょう。ただ、経営者の退職時期が大幅にずれ込んだ場合には税額負担が高額になる可能性もあります。その点には注意を払って、事業保険選びを進めましょう。

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