事業承継税制にはデメリットもある!保険利用で節税を。

事業承継税制にはデメリットもある!保険利用で節税を。
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平成25年の税制改正で、事業承継税制(非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度)が拡充になりました。これまでの適用要件等を一部撤廃し、中小企業の経営者にとっては今まで以上に利用しやすくなったと言えるでしょう。

メリットばかりが取り上げられる一方で、そのデメリットも少なからず存在します。意外と知らない事業承継税制の基礎知識。その変更点とポイントを確認しておきましょう。

目次

【そもそも事業承継税制とは?その背景と内容は?】

中小企業における事業承継は基本的に、株式の移動で行います。経営者の勇退時に、経営者が保有する自社株を後継者に引き継ぐのです。本来であれば、事業承継時に相当額の税負担が発生します。

その税額負担を軽減するために作られたのが事業承継税制です。事業承継関連税制設立の背景には、“後継ぎ”問題に悩む中小企業の実情があります。事業承継においては、生前贈与、相続に関わらず多額の税額負担が想定されます。特に、優良企業であればあるほどその自社株評価は上昇傾向。資本金の額如何に関わらず、その株価は当初の数十倍になるケースも散見されます。

事業承継税制における最大のメリットは、事業承継時の自社株にかかる相続税と贈与税がそれぞれ、80%と全額免除されること。どちらも、発行済議決権株式総数の3分の2までという範囲が設けられています。この数値には以前から後継者が保有している株式数も含まれていますので、この中には点には注意が必要です。

まとめると、事業承継税制は後継者の税額負担を軽減するために出来た税制。適用要件は様々ありますが、うまく活用することで、税負担は軽減出来ます。つまり、事業承継を促進すること目的に作られた税制なのです。

【事業承継税制におけるメリット、デメリットとは?】

ではここからは、事業承継税制におけるメリット、デメリットを見て行きましょう。上述した通り、最大のメリットは相続税の80%、贈与税の100%が免除出来る税額負担の軽減効果。法改正後においては、事業承継税制の使いやすさも格段にアップしました。

具体的には、これまでの適用範囲が親族のみの、いわゆる“オーナー企業”に限定されていたことに対して、この度の法改正では、その適用範囲が親族以外にも拡大されました。また、これまで適用に際して必要だった経済産業大臣の事前確認は、平成25年4月以降に簡素化。煩雑な手続きを回避することができ、スムーズな事業承継を可能にしました。

このように、事業承継税制適用時のメリットのみならず、同税制適用までのプロセスが簡素化されたこともメリットのひとつと言えるでしょう。どうしても、法改正以降はそのメリットばかりが取り上げられがちです。しかし、デメリットも多々あります。

ここからは事業承継税制におけるデメリットについて確認して行きましょう。結論から言うと、“適用要件の厳しさ”が最大のデメリットと言えるでしょう。同制度の適用に際しては、相続税、贈与税共に、納税猶予後5年以内の80%雇用維持と言う厳しい適用要件があります。

中小企業であれば、外部環境からの突発的な影響も受けやすく、常に業績悪化リスクに晒されていると言えるでしょう。また、納税猶予打ち切りになった場合のリスクにも要注意です。仮に、事業継続要件を満たすことが出来なかった場合には、猶予されていた贈与税と相続税に加えて、利子税の支払いも命じられます。

万が一の際には相当額の税負担が想定されますので、加入の際には十分な検討が必要と言えるでしょう。このように、事業承継税制の適用にはメリットのみならず、将来、経済的負担を強いられる可能性もあります。その点、よく考えて加入を行うようにしましょう。

【事業承継でお悩みの際は、事業保険への加入がおすすめ。】

もちろん事業承継時の節税については、事業承継税制を活用することも一つの手です。仮に、納税猶予が打ち切りになった際には、多額の税負担が想定されます。また、相続税の納税猶予を適用したとしてもそれなりの相続税の納税資金が必要になります。

将来の事業承継対策には事業保険への加入が有効と言えるでしょう。ここからは、事業承継における、もう一つの対策法、事業保険の基礎知識について確認して行きたいと思います。事業承継におけるキーポイントは自社株の評価。好業績が続き、内部留保が着実に積み上げられて行く企業は、その評価も非常に高額になることが想定されます。

もちろん、株価が高ければ後継者の税負担も大きくなります。つまり、自社株の評価を引き下げれば、後継者の税額負担も軽減出来る訳です。一般的に、株価算定に際しては「類似業種比準方式」が採用されます。ざっくり説明すると、類似業種の上場企業の株価を参考にして株価算出をする方法です。

その算出方法で鍵を握るのが「利益」、「配当」、「純資産」の三点。この三点をもとに、株価評価を算出します。事業保険を活用し、支払い保険を損金算入、即ち、「利益」部分を圧縮することで、意図的に株価を下げるのです。事業保険活用時には、とにかく自社株評価がポイント。その課税対象額を減らし、将来の税額負担を軽減出来る点で有効と言えるのです。

では、具体的にはどのような保険に加入することが得策と言えるのでしょうか。結論から言うと、逓増定期保険と、長期平準定期保険がおすすめです。共に、支払い保険料が高額で、その支払い保険料の半額を損金に算入できる点メリットと言えるでしょう。

特に、生前贈与時は、保険料の損金算入による、自社株評価の引き下げに有効です。基本的に、経営者の勇退予定時期により、両者を使い分けます。事業承継時期が比較的近い将来に予定されている場合は、逓増定期保険への加入がおすすめと言えるでしょう。解約返戻金返戻率のピークが5年から10年と比較的早い時期に訪れます。解約金返戻率のピークを迎えるタイミングが早い分、解約返戻金返戻率のピーク期間も非常に短いことが特徴です。

即ち、将来の事業承継時期がピンポイントで定まっていないと、解約返戻金と退職金をうまく損益通算できないケースが想定されます。即ち、多額の税額負担が発生する可能性があると言うことです。一方で、将来の事業承継時が20年から30年後と、比較的遠い将来に予定されている場合は長期平準定期保険の活用が有効と言えるでしょう。

長期平準定期保険は解約返戻金返戻率のピーク時期が加入から、20年から30年後と、その期間が比較的長いことが特徴です。また、解約返戻金返戻率のピークが長いことも特徴です。よって、事業承継時期がピンポイントで定まっている必要がある逓増定期保険に対して、ゆとりを持った事業承継を行うことが出来ます。経営者の勇退時期が多少当初の予定から変動したくらいでは、税額負担増による大幅な赤字リスクは回避出来ると言えるでしょう。

ここまでは、生前贈与における事業承継対策について話を進めさせて頂きましたが、経営者の死亡に伴う相続が発生した際にも、こちらの保険を有効活用することが出来ます。自己株式の買い取り制度を活用することにより、法人が後継者から株式を買い取ります。その代金を相続税の納税資金に充当する仕組みです。

よって、生前贈与時の節税効果、相続時の資金準備。この両者の保険はどちらにも有効な万能型の保険と言えそうです。

中小企業における事業承継は非常にゆゆしき問題です。事業承継税制の活用、あるいは、事業保険の活用。それぞれの性質をしっかり把握し、今後の対策を図りましょう。

事業承継税制にはデメリットもある!保険利用で節税を。

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