監修横田 正則株式会社キューブコンサルティング 代表取締役/損害保険トータルプランナー・AFP
詳しく安全配慮義務とは?違反の判断基準・事例・罰則と中小企業がすべき対策

この記事は2026年10月時点の情報にもとづいています(最終更新:2026年10月18日)。
安全配慮義務とは、従業員が生命や身体、心身の健康を守りながら働けるよう、会社が必要な配慮をする義務です。労働契約法第5条に定められ、会社の規模や業種にかかわらず、人を雇うすべての会社が負います。
安全配慮義務は、工場や現場の事故だけの話ではありません。長時間労働、心の不調、ハラスメント、熱中症なども対象になります。この記事では、安全配慮義務の範囲、違反かどうかの判断基準と判例、違反したときの会社の責任を説明します。あわせて、2026年前後の法改正、中小企業がすべき対策、労災上乗せ保険などの保険での備えも解説します。
- 安全配慮義務は、労働契約法第5条にもとづき、会社が労働契約に伴って当然に負う義務で、心身の健康も含みます。
- 違反かどうかは、会社が危険を予見できたか、避ける措置をとれたかを中心に、個別の事情で判断されます。
- 安全配慮義務そのものに罰則はありませんが、損害賠償の責任に加え、労働安全衛生法違反や業務上過失致死傷罪に問われることがあります。
- 労働時間の把握、健康への配慮、ハラスメントの相談体制、設備の点検と、その記録が、会社と従業員の両方を守ります。
従業員から賠償を求められたときの備え使用者賠償の補償額の考え方を、保険代理店が無料でご説明します
無料で相談労働契約法第5条で定める安全配慮義務とは
安全配慮義務とは、会社(使用者)が、労働契約に伴って当然に負う、従業員の安全と健康を守る義務です。労働契約法第5条は次のように定めています。
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
厚生労働省の通達による説明
厚生労働省の通達は、この条文について次のように説明しています。
(出典:厚生労働省「労働契約法の施行について」平成24年8月10日 基発0810第2号)
| ポイント | 通達の説明 |
|---|---|
| 義務の性質 | 雇用契約書に書いていなくても、労働契約に伴って当然に負う |
| 守る対象 | 「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれる |
| 必要な配慮の中身 | 一律には決まらず、職種、仕事の内容、働く場所などの具体的な状況に応じて求められる |
| 他の法律との関係 | 労働安全衛生法などで定められた具体的な措置は、当然に守らなければならない |
判例で認められてきた考え方
安全配慮義務は、もともと裁判の積み重ねで認められてきた考え方です。最高裁は昭和50年2月25日の判決(陸上自衛隊八戸車両整備工場事件)で、国が職員の生命と健康を危険から守るよう配慮する義務を負うと初めて示しました。民間企業についても、最高裁は昭和59年4月10日の判決(川義事件)で、会社の安全配慮義務違反を認めています。これらの考え方が、2008年3月に施行された労働契約法で条文になりました。
(出典:厚生労働省「労働契約法 参考となる主な裁判例」)
- 安全配慮義務は、労働契約法第5条に定められた従業員の安全と健康を守る義務です
- 雇用契約書に書いていなくても当然に負い、心身の健康も含まれます
- もともと裁判の積み重ねで認められ、労働契約法で条文になりました
安全配慮義務の範囲と、労働安全衛生法との違い
ここでは、安全配慮義務がどこまで、誰に対して及ぶのかと、労働安全衛生法との違いを説明します。
安全配慮義務の範囲:何に、誰に対して負うか
安全配慮義務の範囲は、設備や作業環境などの「物」の面と、働き方や心身の健康などの「人」の面の両方に及びます。どこまで求められるかは、業種や仕事の内容によって変わります。
| 面 | 会社に求められることの例 |
|---|---|
| 物の面(設備・環境) | 機械に安全装置を付ける、設備を点検する、保護具を用意する、暑さ対策をする、防犯の設備を整える |
| 人の面(働き方・健康) | 労働時間を把握して長時間労働を防ぐ、健康診断の結果に応じて仕事を調整する、ハラスメントを防いで相談に対応する、安全衛生教育を行う |
義務を負う相手
安全配慮義務を負う相手は、正社員だけではありません。
- パート・アルバイト・契約社員:自社が雇う労働者なので、正社員と同じく対象です。
- 派遣社員:派遣先の会社にも、派遣社員の安全や衛生を管理する義務があると解説されています。
- 下請・協力会社の作業員:直接雇っていなくても、自社の設備を使わせ、事実上自社の指示で働かせている場合は、義務を負うことがあります。
下請の作業員については、造船所で下請会社の労働者がハンマー打ちの作業で難聴になった事案があります。最高裁は、元請会社が設備を提供して事実上指揮監督していたことなどから、元請会社にも安全配慮義務があるとした高裁の判断を是認しました。
(三菱重工業神戸造船所事件、最高裁 平成3年4月11日判決。出典:飯田橋・神楽坂社会保険労務士法人、弁護士法人いーそらの判例解説)
なお、役員は原則として労働者に当たりませんが、働き方の実態によっては労働者と判断されることがあります。
労働安全衛生法との違い
労働安全衛生法は、会社が守るべき最低限の基準と罰則を定めた法律です。安全配慮義務は、その基準を守ることを含んだ、より広い民事上の義務です。
| 項目 | 安全配慮義務(労働契約法第5条) | 労働安全衛生法 |
|---|---|---|
| 性質 | 会社と従業員の間の民事上の義務 | 国が会社に課す義務(行政上の規制) |
| 内容 | 状況に応じた「必要な配慮」(中身は具体的に決まっていない) | 機械の危険防止(第20条)など、具体的な措置 |
| 違反したとき | 従業員や遺族から損害賠償を求められる | 刑事罰、行政の指導・命令 |
| 罰則 | 労働契約法に罰則の規定はない | あり(例:熱中症対策の措置義務違反は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金) |
労働安全衛生法第3条第1項は、事業者に、最低基準を守るだけでなく、労働者の安全と健康を確保するよう求めています。快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて取り組むことも定められています。
(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」)

基準を守るだけでは足りない
労働安全衛生法の基準を守っていても、それだけで安全配慮義務を果たしたとは限りません。
危険が分かっていれば、法律にない対策も求められることがあると解説されています。
- 範囲は設備などの「物」の面と、働き方や健康などの「人」の面の両方に及びます
- パートや派遣社員、下請の作業員に対して義務を負うこともあります
- 労働安全衛生法の基準を守るだけで義務を果たしたとは限りません
安全配慮義務違反の判断基準と、なりやすいケース
ここでは、安全配慮義務違反があったかどうかの判断の考え方と、違反が問われやすいケースや判例を説明します。
従業員から賠償を求められる前に、
備えと保険料を比べてみませんか
使用者賠償の補償額もあわせて、最大6社の見積もりを1枚の比較表にまとめます。
- 最大6社を比較
- 入力は約60秒
- 最短1〜3営業日
安全配慮義務違反の判断基準:予見可能性と結果回避
安全配慮義務違反があったかどうかは、一般に、次の2つの点を中心に、個別の事情から判断されると解説されています。
| 判断のポイント | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 予見可能性 | 会社が、従業員の安全や健康が害されることを事前に予見できたか | 長時間労働が続いていた、不調の訴えがあった、同じような事故が前にもあった |
| 結果回避可能性 | 予見できた危険を、適切な措置で避けられたのに、措置をとらなかったか | 業務量を減らさなかった、安全装置を付けなかった、相談を放置した |
これに加えて、会社の対応の不足と、実際に起きたけがや病気との間に関係(因果関係)があるかも問われます。

長時間労働の目安
長時間労働については、厚生労働省の脳・心臓疾患の労災認定基準が目安になります。発症前1か月におおむね100時間、または発症前2〜6か月平均で月80時間を超える時間外労働があると、業務と発症の関連が強いと評価されます。こうした時間が続いていれば、会社は危険を予見できたと判断されやすくなります。
(出典:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準 改正に関する4つのポイント」2021年9月)
心の不調を本人が伝えていない場合
心の不調については、本人が会社に伝えていなくても、会社の責任は軽くならないことがあります。最高裁は、従業員が通院や病名を会社に伝えていなかったことを理由に、賠償額を減らすことはできないと判断しました(東芝〔うつ病・解雇〕事件、最高裁 平成26年3月24日判決)。会社は、長時間労働や業務の急な増加など、外から見えるサインで気づく必要があります。
安全配慮義務違反になりやすいケースと判例
安全配慮義務違反が問われやすいのは、長時間労働、心の不調、ハラスメント、設備による事故、暑さの中の作業などです。仕事が原因の心の病気(精神障害)で労災と認められた件数は、令和7年度に1,082件で、前年度より26件増えました。脳・心臓の病気でも217件が認められ、うち67件は亡くなった事案です。
(出典:厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」2026年7月15日公表)
| ケース | 判例の例 | 示された考え方 |
|---|---|---|
| 防犯・設備 | 川義事件(最高裁 昭和59年4月10日) | 宿直中の新入社員が侵入者に殺害された事案。防犯設備を設けず1人で宿直させた会社の責任を認めた |
| 長時間労働・過労自殺 | 電通事件(最高裁 平成12年3月24日) | 会社は、業務による疲労や心理的負荷が過度にたまらないよう注意する義務を負う。最高裁がやり直しを命じた(差戻し)あと、約1億6,800万円で和解 |
| 心の不調 | 東芝〔うつ病・解雇〕事件(最高裁 平成26年3月24日) | 本人の申告がなくても会社は心の健康に注意が必要。やり直しの高裁判決(差戻し審)で約6,000万円 |
| 職場のいじめ | 誠昇会北本共済病院事件(さいたま地裁 平成16年9月24日) | 同僚からのいじめを防ぐことも安全配慮義務に含まれる。加害者に1,000万円、病院には加害者と連帯して500万円の賠償が命じられた |
| 顧客からの迷惑行為 | NHKサービスセンター事件(東京高裁 令和4年11月22日) | 対応ルールやマニュアル、相談体制を整えていたことから、会社の義務違反を否定 |
| 上司の叱責 | 前田道路事件(高松高裁 平成21年4月23日) | 一審は約3,000万円の賠償を命じたが、控訴審は改善指導の経緯を重く見て会社の責任を否定 |
(出典:厚生労働省「こころの耳」「確かめよう労働条件」「あかるい職場応援団」の裁判例、裁判所「裁判例検索」)
パワハラによる心の病気
パワハラについては、心の病気で労災と認められた原因のうち、上司などからのパワハラが222件で最も多くなっています。パワハラの相談があったのに放置すると、安全配慮義務違反を問われるおそれがあります。中小企業も2022年4月1日から、パワハラ防止の措置が義務です。
(令和7年度、出典:厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』」)
長時間労働の詳しい内容は、過重労働とはで説明しています。心の病気の労災は、精神障害の労災認定で説明しています。
- 違反かどうかは、危険を予見できたか、避ける措置をとれたかを中心に判断されます
- 本人が心の不調を伝えていなくても、会社の責任は軽くならないことがあります
- 長時間労働や心の不調、ハラスメント、設備の事故などで違反が問われやすいです
安全配慮義務違反の罰則と、会社が負う責任
安全配慮義務そのものに罰則はありません。労働契約法には罰則の規定がないためです。ただし、違反が問われる場面では、次のような責任が重なることがあります。
| 責任 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 民事(損害賠償) | 従業員や遺族に、労災保険で補いきれない損害(慰謝料、休業中の収入の不足分、将来の収入の減少分=逸失利益など)を賠償する | 民法第415条(債務不履行:約束した義務を果たさなかったこと)、第709条(不法行為)、第715条(使用者責任) |
| 刑事 | 労働安全衛生法の措置を怠れば、会社と担当者が罰せられることがある。人を死傷させれば、現場を管理する個人が業務上過失致死傷罪(5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)に問われることがある | 労働安全衛生法、刑法第211条 |
| 行政 | 法令違反や急迫した危険があるとき、作業の停止や機械の使用停止を命じられることがある | 労働安全衛生法第98条・第99条 |
(出典:e-Gov法令検索「民法」「刑法」「労働安全衛生法」、厚生労働省「労働災害が発生したとき」)
送検された事案
厚生労働省が公表している労働基準関係法令違反の送検事案(令和7年9月〜令和8年8月公表分)は、約400件にのぼります。墜落を防ぐ作業床を設けない、機械の危険を防ぐ措置をとらないといった安全措置の違反が多く見られます。
(出典:厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」2026年9月30日掲載)
役員個人の責任
役員個人が責任を問われることもあります。飲食チェーンの新入社員が過労死した事案では、社長を含む取締役4人にも個人の賠償責任が認められました。会社と取締役らは、連帯して約7,860万円を支払うよう命じられています(大庄事件、大阪高裁 平成23年5月25日判決)。
政府労災で埋まらない部分
民事の賠償で注意したいのは、政府の労災保険(政府労災)では埋まらない部分が会社の負担になることです。政府労災は慰謝料を補償しません。最高裁も、労災保険の給付を慰謝料から差し引くことはできないと判断しています(最高裁 昭和58年4月19日判決)。生命・身体の侵害による損害賠償の請求は、知った時から5年、権利を行使できる時から20年まで可能です(民法第166条・第167条・第724条・第724条の2)。
賠償額の決まり方は、労災で会社が払う損害賠償・慰謝料・示談金で説明しています。従業員同士のトラブルで会社が負う責任は、使用者責任とはで説明しています。
- 罰則はありませんが、損害賠償や刑事・行政の責任が重なることがあります
- 役員個人が賠償責任を問われることもあります
- 政府労災は慰謝料を補償せず、埋まらない部分が会社の負担になります
2025〜2028年の法改正で増える「会社がすべきこと」
2025年から2028年にかけて、従業員の安全と健康に関する会社の義務・努力義務が続けて始まります。努力義務には罰則がありません。ただし、安全配慮義務を果たしたかどうかは個別の事情で判断されるため、早めに取り組んでおくことが大切です。
| 施行日 | 内容 | 区分 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月1日 | 熱中症のおそれがある作業で、報告体制と対応手順を決めて周知する | 義務(罰則あり) | 労働安全衛生規則第612条の2 |
| 2026年4月1日 | 高年齢者の労働災害を防ぐ措置 | 努力義務 | 労働安全衛生法第62条の2 |
| 2026年4月1日 | 病気の治療と仕事の両立を支援する体制づくり | 努力義務 | 労働施策総合推進法第27条の3 |
| 2026年10月1日 | 顧客などからのカスタマーハラスメントを防ぐ措置 | 義務 | 労働施策総合推進法第33条 |
| 2028年4月1日 | 従業員50人未満の事業場でもストレスチェックを実施 | 義務 | 労働安全衛生法第66条の10 |
(出典:厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」、e-Gov法令検索「労働安全衛生法」「労働施策総合推進法」、厚生労働省 安全衛生分科会資料、佐賀労働局 報道発表資料)
熱中症対策の義務違反での書類送検
熱中症対策の義務をめぐっては、2026年9月に書類送検が報じられました。解体作業中に作業員が熱中症で亡くなった事故で、元請と下請の2社と、下請の代表取締役らが、労働安全衛生法違反の疑いで書類送検されています(共同通信、2026年9月7日)。
熱中症対策とストレスチェックの義務化は、次の記事で詳しく説明しています。
- 2025〜2028年にかけて、安全と健康に関する義務・努力義務が続けて始まります
- 努力義務に罰則はありませんが、早めに取り組んでおくことが大切です
中小企業が安全配慮義務を果たすための対策(チェックリスト)
安全配慮義務を果たす基本は、危険に気づく仕組みを作り、対策をとり、その記録を残すことです。専任の担当者がいない会社でも、次の項目から始められます。
- 労働時間タイムカードやパソコンの使用記録など、客観的な方法で労働時間を把握している
- 労働時間時間外労働の上限(原則 月45時間・年360時間)を超えそうな人を毎月確認し、業務量を見直している
- 健康時間外・休日労働が月80時間を超え、疲れがたまった人が申し出たら、医師の面接指導を行う流れを決めている
- 健康健康診断の結果を確認し、必要な人は医師の意見を聞いて仕事を調整している
- ハラスメントパワハラ・カスハラの方針を決め、相談窓口を従業員に知らせている
- ハラスメント相談を受けたら、事実を確認し、被害者への配慮と再発防止をする流れを決めている
- 設備・作業機械・設備の点検、安全装置の確認、保護具の用意をしている
- 設備・作業新しく入った人や配置が変わった人に安全衛生教育をしている
- 記録事故やヒヤリハット(事故になりかけた出来事)の報告を受け、対策を記録している
- 外部の力社会保険労務士、産業医、地域の産業保健センターなどに相談できる先を決めている
(出典:厚生労働省「働き方改革関連法解説(労働安全衛生法/産業医・産業保健機能の強化関係)」、厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」)
面接指導のあとの措置と記録
面接指導のあとは、医師の意見を聞き、必要に応じて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などの措置をとります。記録は、いざというときに、会社がどんな配慮をしてきたかを示す材料になります。
- 危険に気づく仕組みを作り、対策をとり、記録を残すことが基本です
- 記録は、会社がどんな配慮をしてきたかを示す材料になります
従業員から責任を問われたときの対応と、保険での備え
従業員や遺族、その代理人の弁護士から責任を問われたら、その場で責任を認めたり、金額を約束したりしないことが大切です。記録を集めて、保険会社・代理店と弁護士に早めに相談してください。
責任を問われたときの5つの手順
- 連絡の内容(誰から、何を、いつまでに求めているか)を記録する
- その場で責任を認めない、金額を約束しない
- 労働時間、健康診断、面談、点検、教育、相談対応の記録を集めて保管する
- 保険に入っている場合は、保険会社または代理店に連絡する
- 弁護士に相談し、会社としての方針を決める
保険会社の承認なく賠償責任を認めると、保険金が減る場合があるため、4は早いほど安心です。
保険で備えられること
安全配慮義務違反で会社が負うお金の一部は、保険で備えられることがあります。補償の内容は商品や契約内容によって異なります。
| 会社に起きること | 備えられる保険(一般的な例) | 注意点 |
|---|---|---|
| 労災で従業員や遺族に補償金を払う | 労災上乗せ保険(政府労災を超える部分を補う「法定外補償」) | 過労死や心の病気など業務上の病気は、政府労災の認定を条件にする設計が一般的 |
| 安全配慮義務違反で損害賠償を求められる | 使用者賠償責任保険 | 賠償額から政府労災の給付などを差し引いた額をもとに支払う設計が一般的 |
| ハラスメントや不当解雇で訴えられる | 雇用慣行賠償責任保険 | 対象になる行為の範囲や時期は契約で確認する |
| 弁護士に相談する | 法律相談費用の特約 | 保険会社の事前の同意が必要なことが一般的 |
当社に寄せられる相談では、「労災があるから大丈夫」という声をよく聞きます。しかし、政府労災は慰謝料を補償しないため、安全配慮義務違反を問われたときの賠償は、政府労災とは別に考える必要があります。
安全配慮義務違反の賠償への備えは、使用者賠償責任保険とはで説明しています。

- 責任を問われたら、その場で責任を認めたり金額を約束したりしないことが大切です
- 記録を集めて、保険会社・代理店と弁護士に早めに相談します
- 会社が負うお金の一部は、保険で備えられることがあります
保険料の目安を知りたい方へ最大6社の見積もりを1枚の比較表にまとめます
比較表をもらうよくある質問
まとめ
- 安全配慮義務は、労働契約法第5条にもとづき、会社が従業員の生命・身体・心身の健康を守るために負う義務です。
- 範囲は設備と働き方の両面に及び、パート・派遣社員・下請の作業員に及ぶこともあります。
- 違反かどうかは、危険を予見できたか、避ける措置をとれたかを中心に判断されます。
- 安全配慮義務そのものに罰則はありませんが、損害賠償、労働安全衛生法違反、業務上過失致死傷罪、役員個人の責任が重なることがあります。
- 労働時間の把握、健康への配慮、相談体制、設備の点検と記録を整えることが基本です。政府労災で埋まらない賠償への備えとして、保険を検討する方法もあります。
代理店の現場から(監修者コメント)
労災上乗せ保険は、
比べてはじめて「適正」が分かります
複数の保険会社の見積もりを1枚の比較表にまとめ、保険料の違いと補償の過不足を見える化します。
- 最大6社を比較
- 入力は約60秒
- 最短1〜3営業日
参考資料
- e-Gov法令検索「労働契約法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128
- 厚生労働省「労働契約法の施行について」(平成24年8月10日 基発0810第2号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb8530&dataType=1&pageNo=1
- 厚生労働省「労働契約法 参考となる主な裁判例」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/12.pdf
- 厚生労働省 法令等データベース「労働安全衛生法」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74001000&dataType=0&pageNo=1
- e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 厚生労働省「労働災害が発生したとき」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/rousai/index.html
- 厚生労働省「令和7年度『過労死等の労災補償状況』」(2026年7月15日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74476.html
- 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準 改正に関する4つのポイント」(2021年9月) https://www.mhlw.go.jp/content/000833810.pdf
- 厚生労働省「働き方改革関連法解説(労働安全衛生法/産業医・産業保健機能の強化関係)」(2019年3月) https://www.mhlw.go.jp/content/000497962.pdf
- 厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」 https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/pdf/000463185.pdf
- 厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」(令和7年9月1日〜令和8年8月31日公表分、2026年9月30日掲載) https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html
- 厚生労働省「こころの耳」事例紹介(電通事件) https://kokoro.mhlw.go.jp/case/634
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」メンタルヘルスの裁判例 https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/mental/mental.html
- 厚生労働省「あかるい職場応援団」裁判例(誠昇会北本共済病院事件、NHKサービスセンター事件、前田道路事件) https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/judicail-precedent/3 / https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/judicail-precedent/70 / https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/judicail-precedent/2/
- 裁判所「裁判例検索」川義事件(昭和58(オ)152)、最高裁昭和58年4月19日判決(昭和55(オ)82)、東芝事件(平成23(受)1259) https://www.courts.go.jp/hanrei/52180/detail2/index.html / https://www.courts.go.jp/hanrei/54260/detail2/index.html / https://www.courts.go.jp/hanrei/84051/detail2/index.html
- 労働新聞社「大庄ほか事件(大阪高判平23・5・25)」 https://www.rodo.co.jp/precedent/28605/
- 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和7年5月20日 基発0520第6号) https://www.mhlw.go.jp/content/001490909.pdf
- 厚生労働省「労働施策総合推進法等の一部を改正する法律の概要(令和7年法律第63号)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001502748.pdf
- 佐賀労働局 報道発表資料(ストレスチェックの施行日) https://jsite.mhlw.go.jp/saga-roudoukyoku/content/contents/002836588.pdf
- 共同通信「解体中に熱中症死亡、書類送検 重症化防ぐ対策怠った疑い、鳥取」(熊本日日新聞、2026年9月7日) https://kumanichi.com/articles/2033390
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
- e-Gov法令検索「労働施策総合推進法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132
- e-Gov法令検索「刑法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
- 厚生労働省 労働政策審議会安全衛生分科会 第182回 資料2-1(高年齢者の労働災害防止措置) https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001642093.pdf
- 厚生労働省 労働政策審議会安全衛生分科会 第185回 資料2-2(ストレスチェックの施行期日) https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001700863.pdf
- 飯田橋・神楽坂社会保険労務士法人「【安全配慮義務】三菱重工業神戸造船所事件」 https://sr-sharoushi.com/entry/2019/03/24/125741
- 弁護士法人いーそら「元請業者に対する損害賠償請求を認めた最高裁判決」 https://rousai.esora-law.com/dameges/h3-4-11/
この記事は一般的な情報の提供を目的としており、特定の保険商品の勧誘を目的とするものではありません。補償の内容は商品や契約内容によって異なります。安全配慮義務違反にあたるかどうかなど個別の判断が必要な場合は、弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。






「労災があるから大丈夫」という声は、よく聞きます。保険料の負担感が大きく、使う場面が少ないため、「払い続けているだけ」と感じやすい保険であることも確かです。それでも、死亡や後遺障害、損害賠償が起きれば、会社が払う金額は大きくなります。当社の見解として、小さな会社でも業務中の事故は起こり得るので、少なくとも使用者賠償責任保険(従業員から損害賠償を請求されたときの保険)は必要だと考えています。