監修横田 正則株式会社キューブコンサルティング 代表取締役/損害保険トータルプランナー・AFP
詳しく【2026年版】熱中症対策の義務化で企業がすべき対応と罰則を解説

この記事は2026年10月時点の情報にもとづいています(最終更新:2026年10月17日)。
熱中症対策の義務化とは、熱中症のおそれがある作業を行う会社に、「報告体制の整備」と「悪化を防ぐ手順の作成」、その周知を罰則付きで義務付けたものです。根拠は、2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則です。会社の規模や業種、屋内か屋外かは問わず、作業の条件で対象かどうかが決まります。
建設業でなくても、エアコンのある職場でも、対象外とは限りません。職場の熱中症は、製造業や運送業、警備業、商業でも多く起きています。この記事では、義務の中身と対象になる作業、罰則、2026年3月に新しくなった国のガイドライン、従業員が倒れたときの労災と会社の責任、保険(労災上乗せ保険など)での備えを、会社側の視点で説明します。
- 熱中症対策は、2025年6月1日から、WBGT28度以上または気温31度以上で一定時間働く作業を行う会社の義務です。
- 会社がすることは、①異変を報告する体制、②作業から離す・冷やす・受診させる手順を、作業場ごとに決めて全員に知らせることです。
- 違反すると6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象で、会社(法人)にも罰金が科されることがあります。
- 2026年3月に国の指針が「職場における熱中症防止のためのガイドライン」に変わり、義務とあわせて取り組みたい対策が整理されました。
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無料で確認令和7年6月から始まった職場の熱中症対策義務化の変更点
熱中症対策は、2025年6月1日から会社の義務になりました。根拠は、改正された労働安全衛生規則(安衛則)第612条の2です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2025年(令和7年)6月1日 |
| 根拠 | 労働安全衛生規則 第612条の2(令和7年厚生労働省令第57号で追加) |
| 対象 | 熱中症のおそれがある作業を行う事業者(規模・業種を問わない) |
| 義務① | 熱中症の自覚症状がある人・疑いがある人を見つけたときに報告させる体制を整え、作業に従事する人に周知する |
| 義務② | 作業からの離脱、身体の冷却、医師の診察など、悪化を防ぐ措置の内容と手順を作業場ごとに定め、作業に従事する人に周知する |
| 罰則 | 6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。法人にも罰金刑(労働安全衛生法 第119条・第122条) |
(出典:労働安全衛生規則 第612条の2、厚生労働省 令和7年5月20日付け基発0520第6号)
作業に従事する人には、同じ場所で作業をする労働者以外の人も含まれるとされています。
(出典:同通達)
「見逃さず、重くしない」仕組みが義務に
ポイントは、熱中症を「起こさない」ための対策だけでなく、「起きたときに見逃さず、重くしない」仕組みが義務になったことです。どれだけ予防をしても、体調や天候によって熱中症は起こり得ます。そのとき、誰がどう気づき、何をするかを、あらかじめ決めておくことが求められています。
元請と下請それぞれの義務
複数の会社が同じ現場で働く場合は、元請(元方事業者)と下請(関係請負人)のそれぞれに措置の義務があるとされています。
(出典:同通達)
- 2025年6月1日から、熱中症対策が罰則付きで会社の義務になりました
- 義務は、報告体制の整備と悪化を防ぐ手順の作成、その周知です
- 元請と下請のそれぞれに措置の義務があるとされています
熱中症対策義務化の背景 2025年は職場の熱中症が過去最多
職場の熱中症による死傷者(死亡と休業4日以上)は、2025年に1,803人となり、統計を取り始めた2005年以降で最も多くなりました。前の年より546人、約43%増えています。亡くなった人は19人で、前の年より12人減りました。
(出典:厚生労働省「令和7年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」2026年5月27日公表)
| 年 | 死傷者数 |
|---|---|
| 2021年 | 561人 |
| 2022年 | 827人 |
| 2023年 | 1,106人 |
| 2024年 | 1,257人 |
| 2025年 | 1,803人 |
(出典:同上)

業種別の死傷者数
業種別では、製造業が365人で最も多く、建設業292人、商業237人、運送業220人、警備業199人と続きます。建設業のような屋外の現場が中心の業種だけでなく、製造業や商業など、さまざまな業種で起きています。また、7月と8月に死傷者の約72%が集中し、50歳代以上が死傷者の約52%を占めています。
(出典:同上)
2025年の死亡19件の状況
厚生労働省は、2025年の死亡19件の状況も公表しています。
(出典:同上)
- 報告体制の整備・周知を確認できなかったことが明らかな事例:2件
- 手順の作成・周知を確認できなかったことが明らかな事例:3件
- 労働衛生教育を確認できなかった事例:9件
義務になった仕組みや教育が、命を守るうえで大切だと分かります。
高年齢の従業員が多い会社
高年齢の従業員が多い会社は、2026年4月から高年齢者の労働災害防止の措置が努力義務になった点もあわせて確認してください。内容は高年齢労働者の労災防止(エイジフレンドリーガイドラインから新指針へ)で説明しています。
- 職場の熱中症の死傷者は2025年に1,803人となり、過去最多でした
- 製造業や商業など、屋外の現場以外の業種でも多く起きています
- 死亡事例には、報告体制や手順、教育を確認できなかった例がありました
熱中症対策義務化の対象となる作業環境 WBGT28度・気温31度と「1時間・4時間」
熱中症対策の義務の対象は、WBGT28度以上または気温31度以上の場所で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行われる見込みの作業です。条件は次のとおりです。
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| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 暑さ | WBGT(暑さ指数)28度以上、または気温31度以上の場所 |
| 時間 | 連続1時間以上、または1日4時間を超えて行われることが見込まれる |
(出典:厚生労働省 令和7年5月20日付け基発0520第6号)
WBGT(暑さ指数)とは
WBGT(暑さ指数)とは、気温に加えて湿度、日差しや地面からの照り返しなどを考えた、熱中症の危険度を表す指標です。同じ気温でも、湿度が高いと汗が乾きにくく、体温が下がりにくくなります。
対象かどうかを判断するときの注意点
対象かどうかを判断するときの注意点は次のとおりです。
- 規則に業種や会社の規模による限定はありません。暑い場所は、事業場の内外の特定の作業場だけを指すものではないとされています。屋内でも屋外でも、条件を満たせば対象です。
- 出張先や移動中の作業、臨時の作業も、条件を満たせば対象になります。
- 暑い場所かどうかは、原則として作業場所での実測で判断します。通風のよい屋外の作業では、天気予報や環境省の熱中症予防情報サイトを使うことも認められています。
(出典:労働安全衛生規則 第612条の2、厚生労働省 令和7年5月20日付け基発0520第6号)
なお、国のガイドラインには、作業の強さや暑さへの慣れ(暑熱順化)に応じた別の「WBGT基準値」もあります。こちらは対策の目安で、義務の対象を決める「WBGT28度・気温31度」とは別のものです。
- WBGT28度以上か気温31度以上で、連続1時間以上か1日4時間超の作業が対象です
- 業種・規模・屋内外を問わず、出張先や移動中の作業も条件次第で対象です
- 暑い場所かどうかは、原則として作業場所での実測で判断します
企業に義務付けられる熱中症対策の具体的措置
ここでは、義務になった報告体制と悪化を防ぐ手順の作り方と、義務に加えて取り組みたい新しいガイドラインの対策を説明します。
会社がすること① 報告体制をつくり、全員に知らせる
報告体制の整備とは、熱中症の症状がある人や疑いがある人を早く見つけ、決められた担当者にすぐ伝わるようにすることです。本人が申し出る場合と、周りの人が気づいて伝える場合の両方を決めておきます。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 誰に報告するか | 現場の責任者、職長、事務所の担当者(不在時の代わりも決める) |
| どう報告するか | 声をかける、電話、無線、チャットなど |
| 早く見つける工夫 | 作業前の体調確認、責任者の巡視、2人1組(バディ)での相互確認、単独作業を避ける |
| 緊急時の連絡先 | 救急(119)、近くの医療機関、会社の連絡先 |
決めた内容を全員に知らせる
決めた内容は、朝礼で伝える、休憩所や車両に掲示する、作業手順書に書くなどして、作業する全員に知らせます。パート・アルバイトや派遣社員、スポットワーク(短時間・単発の仕事)で働く人にも知らせることが大切です。国のガイドラインでも、スポットワークの労働者も対象になるとされています。
(出典:厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」2026年3月)
異変を言い出しやすい雰囲気をつくる
「体調が悪いと言い出しにくい」雰囲気があると、報告体制は働きません。異変を伝えた人が責められないことを、社長や責任者の言葉で伝えておきましょう。
会社がすること② 悪化を防ぐ手順(フローチャート)を作り、知らせる
悪化を防ぐ手順とは、熱中症が疑われる人が出たときに、その場で何をするかを順番に決めたものです。作業場ごとに、緊急連絡先や搬送先の医療機関とあわせて定めます。流れを図(フローチャート)にして作業場に掲示しておくと、いざというときに誰でも一目で確認できます。

手順に入れておきたい内容
手順に入れておきたい内容は次のとおりです。
- 異変に気づいたら、すぐに作業から離す。
- 涼しい場所に移し、衣服をゆるめ、身体を冷やす。
- 自分で飲める場合は、水分と塩分をとらせる。
- 意識がおかしい、受け答えがおかしい、自分で飲めないなどの場合は、ためらわず救急車を呼ぶ。
- 判断に迷う場合は、救急安心センター(#7119)などに相談する。
- 回復したように見えても、一人きりにしない。
(出典:厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」、労働安全衛生規則 第612条の2)
ガイドラインでは、本人が「大丈夫」と言っても、担当者に連絡し、決めた手順に従うことが示されています。熱中症は急に重くなることがあるため、本人の判断に任せない手順にしておくことが大切です。
企業が取り組むべき基本的な熱中症予防対策
義務になった2つの措置(報告体制と悪化を防ぐ手順)に加えて、厚生労働省のガイドラインでは、次の4つの面から予防に取り組むよう示しています。
| 対策 | 主な内容 |
|---|---|
| 作業環境の管理 | WBGT(暑さ指数)を測り、遮熱・通風・冷房などで下げる。涼しい休憩場所を用意する |
| 作業の管理 | WBGTが高いときは作業時間を短くし、こまめに休憩をとる。暑さに慣れていない人は少しずつ慣らす。のどが渇く前に水分と塩分をとる |
| 健康管理 | 作業前に睡眠不足・体調不良・前日の飲酒などを確認する。作業中も顔色や様子を見る |
| 労働衛生教育 | 熱中症の症状、予防の方法、救急の処置、過去の事故の例を、管理者と作業者に教える |
出典:厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(2026年3月)
2026年3月の新ガイドラインで示された対策
厚生労働省は2026年3月18日、「職場における熱中症防止のためのガイドライン」を策定し、2021年からの「職場における熱中症予防基本対策要綱」を廃止しました。古い要綱をもとにした解説も多いため、自社の対策を見直すときは新しいガイドラインを確認してください。
(出典:厚生労働省 令和8年3月18日付け基発0318第1号)
新しいガイドラインは、熱中症のリスク(WBGT値など)を評価し、その結果に応じて、業種や作業に合う対策を選んで実施する考え方です。ガイドラインの多くは「望ましい」取組ですが、安衛則で定められた報告体制と手順の整備・周知は、必ず実施しなければなりません。
| 分野 | ガイドラインが示す主な対策 |
|---|---|
| 体制 | 衛生管理者(50人未満の事業場は安全衛生推進者・衛生推進者)を中心に対策を検討する。職長などに行わせる場合は、教育を受けた人などから「熱中症予防管理者」を選ぶ |
| 作業環境 | 日よけ・簡易な屋根・通風・冷房・散水。作業場所の近くに、冷房のある休憩場所か日陰(横になれる広さ)。身体を冷やす物、飲料水・塩飴などを備える |
| 作業管理 | WBGT基準値に応じた休憩。基準値を大きく超えるときは原則作業を行わない。7日以上かけて暑さに慣らす。水分・塩分、通気性のよい服、頻繁な巡視、単独作業を避ける |
| 健康管理 | 健康診断の結果に基づく配慮。作業前の体調確認(睡眠不足、朝食、前日の飲酒など) |
| 教育 | 熱中症予防管理者、職長など、作業する人の3つに分けて教育する |
(出典:厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」)
暑さに慣れていない人への配慮
特に注意したいのは、暑さに慣れていない人です。ガイドラインでは、入職して1週間未満の人や、休みなどで4日以上暑い作業から離れていた人への配慮を求めています。暑さへの慣れは、4日以上離れると失われ始めるとされています。夏の新人や、お盆休み明けの従業員は、作業の量や休憩を調整しましょう。
- 異変を誰にどう報告するかを決め、パートや派遣も含む全員に知らせます
- 離す・冷やす・受診させる手順を作業場ごとに決め、本人の判断に任せません
- 2026年3月の新ガイドラインは、リスクに応じて対策を選ぶ考え方です
企業のリスク管理としての熱中症対策 罰則・損害賠償と保険での備え
ここでは、義務に違反したときの罰則や損害賠償、従業員が熱中症になったときの労災の手続き、保険で備えられることを説明します。
違反するとどうなる?罰則・書類送検・損害賠償
熱中症対策の義務に違反すると、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。違反した個人だけでなく、会社(法人)にも罰金が科されることがあります。
(出典:労働安全衛生法 第119条・第122条)
| 会社に起きること | 内容 |
|---|---|
| 刑事罰 | 6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。法人にも罰金刑 |
| 行政の命令 | 法令違反や急迫した危険がある場合、作業の停止や設備の使用停止を命じられることがある(労働安全衛生法 第98条・第99条) |
| 損害賠償 | 安全配慮義務(労働契約法 第5条)に違反したとして、従業員や遺族から賠償を求められることがある |
書類送検の報道
実際に、義務化の翌年には書類送検の報道もありました。報道によると、2026年8月、鳥取県の解体工事の現場で作業員が熱中症で亡くなりました。重症化を防ぐ措置を講じなかったとして、労働基準監督署は、元請の会社とその現場代理人、下請の会社とその代表取締役を、労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。書類送検は起訴や有罪とは別の段階ですが、会社名の報道や取引への影響につながるおそれがあります。
(出典:共同通信、熊本日日新聞掲載、2026年9月7日)
民事の損害賠償のリスク
刑事罰とは別に、民事の損害賠償のリスクもあります。会社には、従業員が安全に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)があります。暑さへの対策や、倒れたあとの対応が不十分だったと判断されると、会社が賠償を求められることがあります。詳しくは安全配慮義務とは、亡くなった場合の対応は労災の死亡事故で会社がすることで説明しています。

従業員が熱中症になったら 労災と会社の手続き
仕事中の熱中症は、業務との関係が認められれば、業務上の病気として労災保険の給付の対象になります。「暑熱な場所における業務による熱中症」は、労働基準法施行規則の職業病の一覧(別表第1の2)に挙げられています。
(出典:厚生労働省「職業病リスト」)
従業員が熱中症で休んだとき、会社がすることは主に次の3つです。
| やること | 内容 |
|---|---|
| 休業の最初の3日間の補償 | 労災保険の休業給付は4日目から。業務災害の場合、1〜3日目は会社が平均賃金の60%を休業補償として支払う(労働基準法 第76条) |
| 労働者死傷病報告 | 死亡・休業4日以上は遅滞なく、休業4日未満は3か月ごとにまとめて労働基準監督署へ報告(労働安全衛生規則 第97条)。2025年1月から原則電子申請 |
| 労災の請求の手助け | 請求書の事業主の証明など、従業員の労災の請求に協力する |
休業4日目からは、労災保険から給付基礎日額の60%の休業(補償)等給付と、20%の休業特別支給金が支給されます。ただし、労災保険は慰謝料を補償せず、休業中の収入も約8割までです。会社の対策に問題があったと判断されると、残りの損害について会社が賠償を求められることがあります。
(出典:厚生労働省「労災保険給付の概要」令和8年7月1日現在)
手続きの詳しい流れは労災申請で会社がすること、報告の書き方は労働者死傷病報告とはで説明しています。
熱中症に保険で備えられること
熱中症対策そのものは保険ではできませんが、熱中症が起きたあとに会社にかかるお金の一部は、保険で備えられることがあります。補償の内容は、商品や契約内容によって異なります。
| 会社に起きること | 備えられる保険(一般的な例) | 注意点 |
|---|---|---|
| 従業員の休業・後遺障害・死亡に、会社が補償金を上乗せする | 労災上乗せ保険(業務災害補償保険)の法定外補償 | 業務上の病気は政府労災の認定を条件にする設計が一般的。熱中症など一部は認定を待たない設計もある |
| 安全配慮義務違反で、従業員や遺族から賠償を求められる | 使用者賠償責任保険 | 賠償額から政府労災の給付などを差し引いた額をもとに支払う設計が一般的 |
| 弁護士への相談、死亡事故後の葬儀や代わりの人員の採用などの費用 | 法律相談費用・事業者費用の特約 | 保険会社の事前の同意が必要なことが一般的 |
当社に寄せられる相談では、熱中症に限らず、「労災があるから大丈夫」という声をよく聞きます。しかし、労災保険は慰謝料や会社が負う賠償を補うものではありません。今の契約で、熱中症が補償の対象になるか、政府労災の認定を待つ設計かどうかを、夏の前に一度確認しておくと安心です。
賠償への備えは使用者賠償責任保険とは、補償の仕組みは業務災害補償保険とはで説明しています。
- 違反すると拘禁刑や罰金の対象で、法人にも罰金が科されることがあります
- 業務との関係が認められれば労災の対象で、休業1〜3日目は会社が補償します
- 熱中症のあとに会社にかかるお金の一部は、保険で備えられることがあります
中小企業が夏の前にやること(チェックリスト)と補助金
ガイドラインでは、熱中症対策の準備を、おおむね4月中までに終えることが示されています。人数の少ない会社でも、次の順番で一つずつ確認すると、義務の部分から漏れなく準備できます。
- WBGT28度以上または気温31度以上で、1時間以上・1日4時間超になる作業を洗い出す(出張・移動中も含む)
- 異変を誰に・どう報告するかを決める(不在時の代わりも)
- 作業場ごとに、離す・冷やす・受診させる手順と、緊急連絡先・搬送先の医療機関を決める
- 報告体制と手順を、朝礼・掲示・手順書で全員に知らせる(パート、派遣、スポットワークの人も)
- 冷房のある休憩場所か日陰、飲料水・塩分、身体を冷やす物を用意する
- WBGT値を測る方法を決め、基準を超えたときの休憩・作業中止の基準を決める
- 新しく入った人、休み明けの人を、7日以上かけて暑さに慣らす計画を立てる
- 責任者と作業する人に、熱中症の症状・予防・応急処置を教える
- 下請や協力会社と一緒に働く現場では、連絡と対応の分担を決める
(出典:労働安全衛生規則 第612条の2、厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」をもとに当社で整理)
建設業で注意すること
建設業は、職場の熱中症の死傷者・死亡者が多い業種で、元請・下請の関係があるため連絡の分担が特に大切です。ガイドラインでは、注文者が経費や工期に配慮することも望ましいとされています。
クールワークキャンペーン
毎年、厚生労働省などが「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を行っています。2026年は5月1日から9月30日まで(準備期間は4月、重点取組期間は7月)でした。ただし、これはキャンペーンの期間で、義務の期間ではありません。
(出典:中央労働災害防止協会「令和8年 STOP!熱中症 クールワークキャンペーン実施要綱」)
熱中症対策に使える補助金
費用の面では、60歳以上の従業員を雇う中小企業向けに、国の「エイジフレンドリー補助金」に熱中症対策コース(補助率1/2、上限100万円)があります。令和8年度の申請受付は、10月31日までの予定が延長され、2026年11月20日までです。予算に達した場合は、期間の途中でも受付を終えることがあります。審査があり、申請すれば必ずもらえるものではありません。条件は年度ごとに変わるため、申し込む前に厚生労働省のページで確認してください。
(出典:厚生労働省「令和8年度エイジフレンドリー補助金のご案内」)
- 準備はおおむね4月中までに終え、チェックリストで一つずつ確認します
- 建設業は元請・下請の関係があるため、連絡の分担が特に大切です
- 60歳以上を雇う中小企業向けに、熱中症対策に使える補助金があります
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まとめ 熱中症対策の義務化で企業がすべき対応と罰則
- 熱中症対策は、2025年6月1日から、熱中症のおそれがある作業を行う会社の義務です。規模や業種ではなく、WBGT・気温と作業時間の条件で決まります。
- 会社は、異変を報告する体制と、作業から離す・冷やす・受診させる手順を、作業場ごとに決めて全員に知らせます。
- 違反すると6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象で、法人にも罰金が科されることがあります。安全配慮義務違反による損害賠償のリスクもあります。
- 2026年3月の新ガイドラインで、リスクに応じて作業環境・作業管理・健康管理・教育の対策を選ぶ考え方になりました。
- 熱中症が起きたあとの補償や賠償は保険で備えられることがあります。熱中症の扱いを契約で確認しておきましょう。
代理店の現場から(監修者コメント)
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参考資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(第612条の2、第97条) https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(第22条、第98条、第99条、第119条、第122条) https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057
- 厚生労働省 令和7年5月20日付け基発0520第6号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001490909.pdf
- 厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(2026年3月) https://www.mhlw.go.jp/content/001676299.pdf
- 厚生労働省「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報」 https://neccyusho.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省「令和7年『職場における熱中症による死傷災害の発生状況』(確定値)を公表します」(2026年5月27日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73330.html
- 厚生労働省「職業病リスト(労働基準法施行規則別表第1の2)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30055.html
- 厚生労働省「事務所衛生基準規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和4年3月1日) https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000904298.pdf
- 厚生労働省「労災保険給付の概要」(令和8年7月1日現在) https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001743908.pdf
- 厚生労働省「労働災害が発生したとき」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/rousai/index.html
- 厚生労働省「労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されました」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/denshishinsei_00002.html
- 厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
- 中央労働災害防止協会「令和8年『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン』実施要綱」 https://www.jisha.or.jp/info/campaign/neccyusho/youkou.html
- 共同通信「解体中に熱中症死亡、書類送検 重症化防ぐ対策怠った疑い、鳥取」(熊本日日新聞掲載、2026年9月7日) https://kumanichi.com/articles/2033390
- e-Gov法令検索「労働契約法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128
- e-Gov法令検索「事務所衛生基準規則」(第5条) https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000043
この記事は一般的な情報の提供を目的としており、特定の保険商品の勧誘を目的とするものではありません。補償の内容は商品や契約内容によって異なります。法律や社内規程の判断が必要な場合は、弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。






毎年夏になると、熱中症の事故報告が続きます。多いのは、草刈りや除草、植木の剪定など、屋外での作業中に気分が悪くなったり足がもつれたりして受診するケースです。仕事帰りに自転車で帰る途中に倒れた方もいました。多くは数日の通院で済んでいますが、受診してみると熱中症ではなく別の病気だったという例もあり、その場合は保険の対象になりません。熱中症を補償の対象にしているかは保険の契約によって違うので、屋外の作業がある会社は確認しておいてください。