マンション管理組合の役員になったら訴えられた!保険で対応できる?

こんにちは。保険相談ラボです。

日本一、マンション管理組合の役員に寄り添うために、役に立つ情報をお伝えしています。

マンション管理組合の役員・理事は輪番制となっていることが多いため、今年から初めて役員や理事になったという方から、多くの心配の声をお聞きします。

今年度から、マンション管理組合の理事長になったけど、スマホで検索すると、役員が訴えられた、とか裁判なんていう記事もあって、なんだか心配・・・。
できればやりたくないけど、輪番制だから・・・。

マンション管理組合の役員になると、重責を感じてしまいますよね。
しかし、知識や備えがあれば、そんなに心配することはありません
トラブルから身を守るためには、まずは知ること。そして備えることです。

良かった!
具体的な知識や備え方を教えてください!

インターネットでマンション管理組合の役員のことを調べると、トラブルだったり、訴訟になっているケースも書かれていて、かなり大変なイメージを持ってしまいます。

しかし、そのような最悪のケースも想定して、きちんと備えておけば、安心して、理事会やマンション管理の運営を行うことができます

心配してこの記事を読んでいる役員さんは、その時点で心の準備はできているかもしれません。

最後までしっかり読んで、管理組合の運営にお役立てください。

目次

マンション管理組合の役員になったら訴えられた?! 対処方法を教えて!

マンション管理組合の役員や理事になると、どんなトラブルが発生するか気になると思います。

具体的なトラブルをご紹介する前に、マンション管理組合の仕組みや役員について、簡単におさらいしましょう。

マンション管理組合とは

マンション管理組合は、マンション共用部分の管理運営を行う組織です。

区分所有法により、区分所有者全員で構成されています。

マンションの所有者は、所有した瞬間に管理組合の構成員となり、管理組合に入らないという選択はできません。

実際の運営は、区分所有者の中から選出された代表者数名で組織される理事会で行われます。

マンション管理組合の理事会

理事会の選出方法はいくつかあり、一般的には、輪番(持ち回り)、推薦あるいは、立候補などで決まります。

実際には、輪番(持ち回り)制で、理事長、マンションが多いです。

立候補や推薦の場合、理事(役員)の任期は長期に及ぶこともありますが、輪番制の場合は、1年や長くても2年のところがほとんどです。

輪番制のところがほとんどということから、毎年のように新しい理事さんが誕生します。

そして、引き継ぎもしっかり行えていない管理組合がほとんどのようです。

運営に関しては、管理会社がサポートしてくれることが多いので、一般的な運営に関して問題が起こることはほとんどありません。

マンション管理組合の役員

マンション管理組合の役員にはどのような役職があるのでしょうか。

一般的には、下記のような役職で構成されています。

役員の役職

  • 理事長・・・管理組合の代表者。管理規約に従って管理組合を運営する責任を負う。
  • 副理事・・・理事長の補佐。理事長不在の場合には、理事長代行となる。複数名存在する場合もある。
  • 理事(会計担当、防災担当など)・・・ 担当業務を分けている場合もある。※監事 管理組合の運営を監査する役。

それぞれの役職ごとに役割もありますが、理事会としての相談事や決定事項について、責任を持って対応する必要があります。

マンション管理組合でのトラブル事例

マンション管理組合でのトラブル事例

世帯数の大きいマンションほど、トラブルの発生件数は多くなりがちです。
実際にどのようなトラブルが発生しているか、見ていきましょう。

驚愕! 会計担当者の横領 責任が理事長に!

会計担当者が一人で、かつ長期に渡って担当すると、横領が発生する可能性があります。

会計担当理事から渡される収支報告書を信頼しきって、理事長が確認、承認していたところ、実は会計担当理事が修繕積立金を横領していたということが、発生しています。

マンションの規模にもよりますが、修繕積立金は数億円になるなど、莫大な金額です。

当然、悪いのは横領した会計担当理事ですが、その監督責任を負っているのは、実は理事長なんです。

なぜ理事長に責任が及ぶのか

会計担当者が作成した収支報告書は、いくらでも改ざんが可能なものなので、それだけで信用してはいけないんです。

少なくとも通帳くらいは確認する必要がありました。

通帳すら確認しなかったことで理事長の責任が問われてしまいました

ただ、通帳すら改ざんしたケースもありますので、ご用心ください。

また、「管理会社に通帳の管理も任せているから会計担当理事の横領はありえない」と安心している役員さんもいると思いますが、管理会社の担当者が着服しているケースもありますので、通帳のチェックは必須です。

マンション管理組合でのトラブル発生状況

修繕積立金の横領と聞くと、とてもセンセーショナルで大問題ですが、実際にはそうそう発生することではありません。

実際に発生するのは次のような身近なトラブルです。

1位:居住者間のマナーをめぐるトラブルで55.9%
2位:建物の不具合に係るトラブルで31.1%
3位:費用負担に係るトラブルで25.5%

国土交通省 『平成30年度マンション総合調査結果』「トラブルの発生状況」

居住者間のマナーをめぐるトラブルの具体的内容

マンション総合調査の結果、1番多いトラブル『居住者間のマナーをめぐるトラブル』の具体的な内容を見てみましょう。

居住者間のマナーをめぐるトラブル ランキング

  • 1位:生活音 38.0%
  • 2位:違法駐車・違法駐輪 28.1%
  • 3位:ペット飼育 18.1%
  • 4位:共用部分への私物の放置 15.1%
  • 5位:バルコニーの使用方法 12.9%
  • 6位:専有部分のリフォーム 4.3%

こういったトラブルは、管理人さんや管理会社が対応をするので、基本的には問題がないのですが、トラブルが発展してしまった場合には、管理組合で対応する必要も出てきます。

マンションでは、高齢者、若者、小さな子どものいる家庭、外国人、ペットを飼っている家庭など、生活リズムの異なる、さまざまな方が生活しているため、トラブルに発展することも珍しくありません

管理組合役員賠償補償とは

管理組合役員賠償補償とは

このような住人同士のトラブルや、役員に責任が発生してしまった場合を補償する保険が、『管理組合役員賠償補償』です。

まさに、役員や理事長、理事を守るための保険です。

マンション管理組合の役員をやりたくないという多くの理由が、「面倒だから」や「高齢だから」というものですが、「なにか起きたときに責任取らなければいけないの?」と心配で役員にはなりたがらない方もいます。

そういった心配を少しでも減らすことができるのが、『管理組合役員賠償補償』です。

管理組合役員賠償補償は、マンション管理組合が加入する、マンション共用部分の保険の特約です。

また、ここ1~2年で販売されている新しい特約のため、皆さまの管理組合で現在の加入中のご契約には、この特約が付帯されていないことがほとんどだと思います。

管理組合役員賠償補償の4つの補償

  1. 管理組合役員賠償保険金
  2. 初期解決費用保険金
  3. 情報漏えい対応費用保険金
  4. 弁護士等費用保険金

管理組合役員賠償補償は4つの補償があります。
保険会社によって、名称や補償される金額に違いがあるので、検討する際は、パンフレットなどで確認してください。

管理組合役員賠償保険金

マンション管理組合の役員等が、マンション管理規約およびその他の細則・規定等に規定する業務に係る行為に起因して負う法律上の損害賠償責任を補償します。

<補償金額>1回の事故につき500万円限度

管理組合役員賠償保険金の事故例1

会計担当理事が修繕積立金の横領をしてしまった。
理事長はそのことに気がつかなかったことで、管理組合から提訴され、横領した金額の一部を負担するように命じられた。

管理組合役員賠償保険金は、理事長の監督責任が問われたことによる賠償事故でも保険で対応することができるんです。

修繕積立金の横領というような、まさかという事態にも対応できるのは大きな安心につながりますよね。

管理組合役員賠償保険金の事故例2

  • あ総会で理事と住人の意見が合わず言い争いとなり、理事が住人に暴言をはいたことで名誉毀損で慰謝料を請求された。
  • 管理費を支払った際に、費用が高額だという理由で、理事長が居住者から、金額の一部を返還するよう請求された。

このような事故も管理組合役員賠償保険金の対象となります。

初期解決費用保険金

マンション管理組合または役員等が損害賠償請求されるおそれがある状況が判明した場合に、その解決のために支出した費用(見舞金や弁護士費用等)を補償します。

<補償金額>1回の事故につき10~30万円
※保険会社によって異なります。

初期解決費用保険金は、損害賠償請求される前の段階となる「おそれ」の初期段階で解決するために、弁護士に相談する費用や被害者にお見舞金の費用を補償することができます。

情報漏えい対応費用保険金

情報漏えい事故が発生した場合の費用を補償します。

<補償金額>1被害者あたり500円~1,000円かつ100万円限度

情報漏えい対応費用保険金

  • 理事が居住者名簿を誤って漏洩させてしまい、居住者からプライバシー侵害による訴訟を提起された。
  • 理事長が所有しているノートパソコンがウイルスに感染してしまい、居住者のリストが漏洩してしまった。

弁護士等費用保険金

入居者や区分所有者がマンション管理規約およびその他の細則・規則等に反する行為により、トラブルが発生し、話し合いで解決できない場合に、マンション管理組合が支出する弁護士相談費用等を補償します。

<補償金額>1つの紛争につき10~30万円限度
※保険会社によって異なります。

すでにお伝えしたとおり、トラブル発生状況の第1位は「居住者間のマナーをめぐるトラブル」です。

居住者間のトラブルを弁護士さんに相談し、円満に解決することができます。

今、役員や理事を務められている方だけでなく、来年度、役員になる方が安心して役員や理事の職を引き受けてくれるように、この補償を検討してみましょう。

マンション管理組合の保険 概要を解説

マンション管理組合の保険 概要を解説

役員や理事に損害賠償責任が発生したときには、管理組合役員賠償補償を使用することができます。

しかし、マンション管理組合では、自然災害などの損害や、漏水トラブルなど、さまざまなリスクがあります。

そこで、管理組合にとって総合的に補償される保険が、マンション総合保険などマンション管理組合向けの保険です。

ここからはマンション管理組合向けの保険の全体像について、概要をご紹介します。理事長さまだけでなく、役員や理事になった方も読み進めてください。

マンション管理組合の保険は3つの補償

マンションの共用部分にかけるマンション総合保険は、実は多くのトラブルに対応しています。

マンション総合保険は、大きく3つの補償で構成されています。

マンション総合保険の3つの補償

  • 財産の補償
  • 費用の補償
  • 賠償の補償

1つずつマンションのトラブルを想定しながら見ていきましょう。

マンション管理組合の保険 財産の補償

マンション共用部分に発生した損害を修理するための補償です。

マンショントラブルの第2位にあたる「建物の不具合に係るトラブル」に関連するものです。

共用部分に発生した損害の例

  • 台風でマンションの外壁が壊れてしまった。
  • 落雷でエレベーターが壊れてしまった。
  • 何者かのいたずらで、ごみ集積所が壊されてしまった。

契約内容によりますが、突発的に起きた共用部分の損害の修理費用を補償してくれます。

マンション管理組合用の火災保険については、こちらの記事で詳しく解説しています。

マンション管理組合の保険 費用の補償

マンション管理組合にとって重要な費用が、『水濡れ原因調査費用』です。
まさに、水濡れの原因を調査する費用です。

マンション管理組合が加入する共用部分の火災保険、区分所有者が加入する専有部分の火災保険、どちらも保険を使う理由として大部分を占めるのは、「漏水事故」です。

水濡れ原因調査費用 事故例

ある居住者から「天井から水が漏れてきている」というクレーム発生。

上階専有部分の給排水管からの水漏れか、上階共用部分の給排水管からの水漏れかは、見えない部分があるので断定はできません。

漏水原因を調査して、どちらに責任があるかを確定させる必要がありますが、天井や壁に穴を開けなければならないため、費用がかかります。

被害者に負担させるわけにもいかず、加害者も確定できていないため、調査費用を請求できません。

調査費用を保険で払ってくれるので、安心して調査ができますよね。

ただし、保険会社や契約内容によって、補償限度額が異なりますので、ご注意ください。

マンション総合保険を使った、漏水事故の解決方法をシミュレーションしていますので、こちらの記事もご覧ください。

マンション管理組合の保険 賠償の補償

この『賠償の補償』がまさにトラブルに対応した補償になります。

費用の補償の種類

  • 建物管理賠償責任補償
  • 個人賠償責任補償

具体例を交えながら1つずつご案内します。

建物管理賠償責任補償

建物管理賠償責任補償は、施設賠償責任補償と呼ばれることもあり、建物や施設の管理責任を問われた場合の補償です。

マンション建物や施設の管理不備によって誰かにケガをさせたり、物を壊してしまった場合は、マンション管理組合に責任が発生します。

こちらも、先程のトラブル発生状況の第2位である「建物の不具合に係るトラブル」に関係します。

施設賠償の事故例

  • マンション共用部分の水管が破損し水が漏れて、住戸部分や家財に損害を与えてしまった。
  • 階段の手すりが壊れていて、気づかずに手すりを触った住民が手をケガしてしまった。
  • マンションの外壁レンガが剥がれ落ちて、住民にケガをさせてしまった。

などなど、建物の管理不備で起こるトラブルは様々なことが想定されます。

比較的起こりやすいトラブルですので、保険で対応できるのは安心ですね。
場合によっては、人命に関わる事故も想定されますので、補償される金額などしっかり確認した上で加入しましょう。

マンション管理組合の建物管理賠償責任保険についてはこちらの記事で詳細に解説しています。

個人賠償責任補償

個人賠償責任補償は、住民が起こした賠償事故を補償するもので、他人にケガをさせたり、物を壊した場合の補償です。

かなり幅広く補償できるものですが、マンションにお住まいの方にとって重要な補償は、階下への水漏れ損害への補償です。

区分所有者の専有部分の給排水管が破損などして漏水すると、ほとんどの場合、階下への損害が発生します

階下へ損害が発生した場合の対応方法

上階の専有部分の給排水管から水漏れが発生した場合には、3パターンの対応方法があります。

  1. 上階の方が、階下の修理費用を現金で支払う
  2. 上階の方が加入している個人賠償責任保険を使って、階下の修理費用を保険で支払う
  3. マンション管理組合で加入している、個人賠償責任保険を使って、階下の修理費用を保険で支払う

上階の方が個人賠償責任保険に加入していたり、現金で修理費用を支払ってくれれば、何も問題はありません。

一方、上階の方の保険は未加入で、修理費用が数百万円におよぶ場合には、気軽に現金で支払える金額ではありません。

マンション管理組合の保険に付帯されている、個人賠償責任保険は住人全員分の補償を一括で付帯することができます

また保険の場合、示談交渉サービスも付いているため、加害者と被害者が直接の交渉をしなくても、保険会社が窓口となって対応することができるため、自己解決の精神的な負担を減らすこともできます。

上下階では、騒音問題など、日常的にトラブルになりやすい関係性もあるので、事故対応を保険会社に任せられるのは安心ですね。

マンション総合保険の個人賠償責任補償特約について知っておくべき3つことをまとめていますので、こちらの記事もご覧ください。

マンション管理組合役員のトラブル まとめ

今回は、マンション管理組合の役員に関係するトラブルについて解説しました。

マンション管理組合の役員になると、巨額になりがちな修繕積立金の横領事件の監督責任を問われかねない、というリスクも確かに存在します。

しかし、管理会社にサポートしてもらったり、マンション総合保険に加入していれば、対応できるのでそこまで心配しなくても大丈夫です。

今回のポイント

役員を守るのが、『管理組合役員賠償補償』です。

  • 管理規約に規定する業務に起因する事故
  • 情報漏えい対応費用
  • 管理規約等に違反したことに起因する紛争について、弁護士費用等の紛争解決費用

など、大きなトラブルから小さなトラブルまで幅広く対応しています。

管理組合役員賠償補償はオプションなので、必要だと感じたら付けるようにしましょう。
また補償内容や補償金額が保険会社によって異なるので、きちんと比較して検討しましょう。

比較するには、複数の保険会社のマンション総合保険を取り扱っている保険代理店に相談することが一番です。

そして、気になる補償をしっかりと相談してください。

もし、管理組合役員賠償について詳しく聞きたかったり、マンション総合保険について相談したい方は、下にある黄色いボタンの「マンション総合保険のご相談はこちら」をクリック。

北は北海道から、南は沖縄まで、全国のマンション管理組合とお取引実績のある担当者がご対応いたします。

少しでも役員の方の負担が減るように、そして次の役員の方が引き受けやすくなるように、お役立てください。

目次